【ニューデリー】確かにブレクジットは、グローバル化に対する最新の脅威だが、7月12日に催されたインド経済フォーラム(India Policy Forum Lecture)で講演したインド政府のアービンド・スブラマニアン主任経済顧問(CEA:chief economic advisor)によると、1980年代の18%から2008年の25%に急進した輸出指向型GDP(exports-to-GDP)、つまりハイパー・グローバリゼーション時代崩壊の過程は、彼が言うところの『西側の凋落とその他の地域の興隆』の波と同時に生じた。
最新のマッキンゼー報告書によると、2005-2014年の間に先進国の実質収入は、65-70%の人口にとって横這いか、縮小した。1993-2005年の間には人口の2%を除きこれらの国の残りすべての国民の実質収入が増加していた。国際貿易の減速や保護主義の台頭は当然の成り行きと言える。全世界のGDPが年率5%の成長を遂げていた2004-2007年の全盛期には、世界の輸出貿易は9-10%の成長を遂げていたが、2015にはマイナス13%の落ち込みを記録した。しかしボリューム・ベースではそれでも僅かに2%の成長を見た。
スブラマニアン主任経済顧問の暫定的結論としては、欧州連合(EU)タイプの一層の統合の動きは抵抗に直面し、貿易と投資の低調なグローバル化が持続する見通しだが、なお実際の動向により確認する必要がある。いずれにしても、一国の経済政策にとって重要な国際的新動向がうんじょうしていると言う。 ○インフレ低下の証拠を:中銀総裁、批評家に要求
【ムンバイ】インド準備銀行(RBI:Reserve Bank of India)のラグラム・ラジャン総裁は、成長よりも物価抑制に照準を合わせ、後手に回っていると批判する批評家に対し、インフレがどれほど沈静したと言うのか証拠を示せと真っ向から挑戦状を突きつけるとともに、この種の批評は井戸端会議に過ぎないと一蹴した。
政府や政治家に厳しい批評を行うことで知られるラジャン氏は、また経済復調のペースに対するフラストレーションがたまっているとする一方、経済復調遅延の原因を二度にわたる干ばつと世界経済の沈滞、そしてブレクジットのような外的な衝撃に帰した。これらの制限要因を配慮すれば、インド経済のパフォーマンスは立派なものと言え、雨期の良好な見通し、構造改革の進捗、安定したマクロ経済基盤等からも、今後の成長は加速する見通しと言う。 ○ジェートリー蔵相、高い預金金利疑問視