1996-01-11 ArtNo.4539
◆<星>SPタオ会長、シング・ランドの全権益売却
【シンガポール】シンガポール・ランドのS.P.タオ会長(79)は同社の10.13%の残余持ち株を3億490万Sドル、1株当たり8.75Sドルで売却、1973年の会長就任以来手塩に掛けシンガポールの主要な不動産会社に育て上げた同社から完全に手を引いた。
シンガポール・ランドが9日、発表したところによれば、同社はタオ氏と同氏の個人所有会社シン・クワン・インベストメントから各159万株と3326万株の持ち株を処分したと通知された。これらのシェアはタオ氏のシンガポール・ランド持ち株の全てで、証券会社ジャーディン・フレミングを通じて様々なファンド・マネージャーに売却されたと言う。タオ氏は外遊中で3月末まで帰国せず、シンガポール・ランドも、親会社のユナイテッド・インダストリアル・コーポレーション(UIC:56%権益所有)も特にコメントしていないが、全持ち株を処分したタオ氏がシンガポール・ランド会長のポストを維持することはないものと見られる。1990年にUICとのシンガポール・ランド支配権益買収戦に敗れた後、タオ会長は持ち株を徐々に処分、シンガポール・ランドの経営の第1線からも退いていた。一方、UICは16億5000万Sドルを支払って同買収戦に勝利したものの、多額の負債を抱え、逆にインドネシアのサリム・グループの買収の標的とされた。結局、同社のウィ・ホンリョン当時会長は1992年に辞職、UOB(第2位の主要株主)のウィー・チョーヤウ会長が引き継いだ。シェル・タワー、ゲートウェイ等の優良オフィス・ビルを所有するシンガポール・ランドは、最近のオフィス・ブームでその株価が上昇しており、タオ会長は残余持ち株を処分する好機と判断したものと見られる。同売却益はタオ氏個人の国内や域内における投資に利用されるものと予想される。同氏のシンクワン・インベストメントはスリランカの39階建てワールド・トレード・センター(S$1.54億)の権益を所有、また同社がインドネシア・パートナーと共同でシンガポール・リバー河畔に開発したキーサイドは昨年住宅購入者らの好評を博した。(ST,BT,LZ:1/10)
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