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2014-06-27 ArtNo.45143
◆書評:聖霊のバプテスマ(メシア道)
【書評】イエスは「もしわたしの言葉のうちにとどまっているなら、あなたがたは、わたしの真の弟子である。そしてあなたがたは真理を知る。真理はあなた方を解放するであろう」(ヨハネ8:31-32)と説いている。つまり初めに神と共に在り、神そのものであった(ヨハネ1:1)言葉に立ち返り、そこにとどまるなら、おのずから真理が見えてくる。そして真理はこの世の一切の苦厄から人間を解放し、永遠の命を得させると言うのである。これこそ、イエスが人類に伝えようとした聖霊のバプテスマの神髄である。
○聖霊のバプテスマを受けるもの
 しかし、 弟子から、イエスが聖霊のバプテスマに本腰で乗り出したことを聞かされた洗礼者ヨハネは「彼はその見たこと、聞いたことについて証しをするが、誰もその証しを受け入れない。彼の証しを受け入れるものは、神がまったき真理であると言う証しをするのである」(ヨハネ3:32-33)とコメントした。つまり神に心印を施す底の人、神人一如の境地に到達したものだけがイエスの聖霊のバプテスマを受けることができると言うのである。
○賊の機
 中国の唐代末期から五代十国の時代(907-960)に、雪峰義存(せっぽう・ぎぞん822-908)禅師が福建省雪峯山に設けた雪峰寺には、常時1500人余の僧侶が修行し、隆盛を極めていた。
禅門では、夏の90日間を「夏安居」と称し、僧堂にこもって修行する。ある「夏安居」の末日、講師を務めた雪峰禅師の高弟翠巌令参(すいがん・れいさん)和尚は修行僧達に向かって、「今日まで、指導役を務め、諸君に説法してきたが、どうだ私の眉毛はまだついているか」と尋ねた。法華経には、仏法を誹謗したり、曲解したものの眉毛は落ちると記されている。
 雪峰禅師には、翠巌和尚の他に、保福従展(ほふく・じゅうてん860?-928)、長慶慧稜(ちょうけい・えりょう854-932)、雲門文偃(うんもん・ぶんえん864-949)等の高弟がひしめいていた。翠巌和尚のこの一問に対して、保福和尚は「大泥棒らしく、ビクビクするな」、長慶和尚は「まだ生えているぞ」と応じ、雲門和尚は「関(かん)」と一喝した。
○メシア道
 地から来たものは地上の言葉を語り(ヨハネ3:31)、天から来た者は神の言葉を語る(3:34)。地上で暮らすものに、譬えや箴言を用いて天上の話をしたところで、決して受け入れられない。
 そればかりではない。初めに神とともにあった言葉に立ち返り、真理を知ったものが、その覚知したものについてこの地上で証しをしようとすれば、口から出た言葉は、もはや絶対ではない。今日の真理は、明日は嘘偽りとなり、正法を誹謗、曲解することになる。しかし、イエスをロールモデルとして、自らメシアの道を歩もうと決意したものは、譬え大泥棒と誹られようと『神がまったき真理である』証しをする義務がある。イエスは「私はこの岩の上に教会を建てる。地獄の門も止めることはできない」と述べている。(マタイ16:18)翠巌和尚もそうした決意の下に説法したものの、あるいは忸怩たる思いがあったのかも知れない。その心の内を見抜いた保福和尚は、「一旦メシアの道を歩もうと決意したならビクビクするな。大泥棒に成りきれ」と励まし、長慶和尚は、「明日のことは分からないが、まだ眉毛はついている。安心しろ。」と応じ、雲門和尚は「地獄と極楽の分かれ道だ。さあ通れ。」と一喝した。
【参照】

○碧巌録第八則 翠巖、夏末に衆に示す
 擧す。翠巖、夏末に衆に示して云く、一夏以來、兄弟の爲めに説話す。看よ、翠巖が眉毛在りや。保云く、賊を作す人心虚なり。長慶云く、生ぜり。雲門云く、關。
○書評:聖霊のバプテスマ(イエスはロールモデル)

○雪峰寺
 福建省ミン候県大湖郷雪峰山の南麓に位置し、福州市から77キロ。唐代咸通十一年(870)に建立された。












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