【書評】イエスは希望を伝えるパレスチナ人の使者であり、パレスチナ人の模範(role model)だった。我々パレスチナ人は2千年後の今、自由を勝ち取るために、イエスが示した手本を全力を尽くして実践する。我々は永続する平和を実現するために、希望を抱き、正義を求めて前進する。
○アッバス議長のクリスマス・メッセージ
パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は、昨年のクリスマスに、以上のメッセージを発表した。つまりパレスチナの平和、ひいては世界の平和を実現するためなら、パレスチナ人一人一人が、イスラム教徒もユダヤ教徒もキリスト教徒も、イエスに倣って希望を捨てず、正義を求め、十字架を負うて歩み続けると言うのである。
アッバス議長は同メッセージの中でまた、フランシス教皇の聖地訪問が、世界中のキリスト教徒がパレスチナに住む彼らの兄弟姉妹と睦み合い、世界のすべての人々のために、就中パレスチナ人のために、正義と平和のメッセージを伝える機会になることに期待を表明した。
○フランシス教皇の招請提案
先月、イスラエルとアラブ世界の数十年におよぶ緊張関係の中心に位置する丘に建つ回教寺院ドームオブロックとユダヤ教徒の嘆きの壁を訪れたフランシス教皇は、祈りを捧げた後、同行したユダヤ教のラビAbraham Skorka氏とアルゼンチンのイスラム教徒指導者Omar Abboud氏を抱擁した。両者は、異教徒間の友情のシンボルとして教皇の正式の代表団に加わっていた。教皇は、さらにイスラエルのシモン・ペレス大統領とパレスチナのアッバス議長をバチカンに招き、平和の祈りを捧げると言う驚きの提案を行った。
○イエスは全人類のロール・モデル
イエスは「もしわたしの言葉のうちにとどまっているなら、あなたがたは、わたしの真の弟子である。そしてあなたがたは真理を知る。真理はあなた方を解放するであろう」(ヨハネ8:31-32)と述べている。イエスは、初めに神と共に在り、神そのものであった(ヨハネ1:1)言葉に立ち返り、そこにとどまることを求めている。そこにはユダヤ教もイスラム教もキリスト教もない。
全人類が、ユダヤ教徒も、イスラム教徒も、キリスト教徒も、仏教徒も、ヒンドゥー教徒も、その他の宗教信者や無神論者もイエスをロール・モデルとして、希望を抱き、正義を求め、自由を勝ち取る決意をするなら、2000年後を待つまでもなく、即今ただ今、全世界に永続する平和が実現するだろう。
一方、フランシス教皇との会談に臨んだイスラエルのネタニヤフ首相は、開口一番、「イエスはこの土地で、ヘブライ語を話した」と語った。すると教皇は笑いながら「彼はアラム語を話していた」と訂正した。これに対してネタニヤフ首相は「彼はアラム語を話し、同時にヘブライ語を知っていた」と応酬したと言う。
【参照】
Abbas in Christmas message: Jesus was 'Palestinian messenger,' role model
Abbas says Jesus was a 'Palestinian messenger'
Israeli PM Netanyahu quibbles with Pope Francis over Jesus Christ’s mother tongue
Pope, Peres and Abbas pray for Mideast peace
○躓きの石(シオニズム)-その1
○躓きの石(シオニズム)-その2
○正真のイスラエル人
○ドームオブロック
○嘆きの壁
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