[書評:キリスト教の起源]あなたの本には、主題が1つ、結論が2つありますね。
この本の主題は『キリスト教の起源中の仏教的要素』。第1の結論は、『仏教的要素の確認を通じたキリスト教と仏教の大同一致』。第2の結論は、『人類の宗教的大同により紛争を終結させる』。
第2の結論は、第1の結論を前提にしています。この種の複雑な論理の設定で、読者の理解を得るのは、難しいかも知れません。
いそのこと、『キリスト教起源中の仏教的要素から世界の統一と究極的平和実現を目指す』と言う主題の下に、第一部、第二部、第三部を統合しては如何ですか。
天天向上
[返信]
大変、詳細に分析して頂き有り難うございます。この書は未完成です。一緒にキリスト教の源流を探って見ませんか。
キリスト教の源流を求めて、上流に遡るほど多くの支流見出すでしょう。おそらくアレキサンドリアやタルソス等、地中海沿岸や西アジア各地の異邦人ユダヤ教徒の間で形成されたメシア信仰がイエスの時代に融合し、キリスト教が誕生したものと思います。
ユダヤ教は当初はヘブライ語で語られ、表記されたものと見られますが、ハスモン朝がエドム人、モアブ人、アンモン人、アモリ人やフェニキア人、ギリシア人等を包含する多民族統一国家を形成した際に、パレスチナの周辺地域ではアラム語が共通語として用いられるようになったものと見られ、イエスは、アラム語で説教していたものと想像されます。
またアレキサンドリアで旧約聖書がギリシア語に翻訳された後、地中海沿岸地域に、ギリシア語で書かれた旧約聖書しか知らない異邦人ユダヤ教徒が大量に発生しました。
こうしてイエスが活動した時代には、エルサレム周辺を中心としたユダヤ地域ではヘブライ語が、それ以外のパレスチナ全域ではアラム語が、そして地中海周辺地域ではギリシア語が、ユダヤ教の媒介言語として主に用いられたものと想像されます。
このように媒介語が変化する過程でユダヤ教そのものにも質的な変化が生じたように思います。
例えば日本語や中国語の聖書で用いられる信仰と言う言葉は、英語版新約聖書ではもっぱらfaithと表現されています。faithとは、神やキリストを主(ロード)、自らを僕(しもべ)とし、僕が主君に忠誠を誓うと言うものです。これは日本人や中国人の信仰とはニュアンスが異なり、むしろ儒教の忠誠や忠恕に近い思想と言えます。おそらく欧州における封建時代の形成期に新約聖書が英語に翻訳されたことが、その背景に存在するのではないでしょうか。
ちなみにイスラム圏に属するマレーシアでは、キリスト教徒も伝統的に『アラー』を神の呼称として用いていたそうですが、最近同国の裁判所は『アラー』と言う呼称を用いるのは、イスラム教徒の特権であるとし、イスラム教以外の宗教が、神の呼称として『アラー』と言う言葉を用いるのを禁止したそうです。
またヨハネ福音書の著者は、イエスの教えを受け入れない人々のことをユダヤ人と呼んでいます。つまり、自分たち(おそらくガリラヤ人)は、非ユダヤ人であると言う立場をとっているように見えます。
旧約聖書がヘブライ語版を原典としているのに対して、新約聖書がギリシア語版を原典としていることからも、キリスト教が異邦人ユダヤ教徒を源流としていることが窺えます。
村上厚
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