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2011-03-02 ArtNo.44470
◆2011-12年度GDP成長率9%:大蔵省経済報告
【ニューデリー】原油を初めとする国際商品相場の不安定や中東地域の政治情勢の悪化に関わらず、高い貯蓄と投資に支えられ、2011-12年度国内総生産(GDP)成長率は、経済危機以前の9%(+/-0.25)の成長を回復する見通しだ。
エコノミック・タイムズ、ヒンドゥー・ビジネス・ライン、ファイナンシャル・エクスプレス、デカン・ヘラルド、ザ・ヒンドゥー、ビジネス・スタンダードが2月25/26日報じたところによると、2010-11年度大蔵省年次経済調査報告を25日、国会に上程したPranab Mukherjee蔵相は、以上の見通しを示すとともに、農業部門の広範な復調と製造業部門および民間サービス業部門の持続的成長に支えられ、2010-11年度の経済成長率が8.6%に達すると予測した。同数字は中央統計局(CSO:Central Statistics Office)と首相経済諮問委員会(PMEAC:Prime Minister's Economic Advisory Council)の予測と一致している。報告書は2010-11年度の農業成長率を5.4%と見通している。
○インフレ高進が懸念材料
報告書は、財政収支と経常収支の赤字をさして懸念していないが、今年1月の総合インフレが8.23%と、当初見通しを1.5%ポイント上回ったこと、また昨年12月の鉱工業生産指数(IIP)成長率が過去20ヶ月来最低の1.55%にとどまった点を指摘、インフレ、とりわけ食品インフレが成長の阻害要因になる可能性を付言している。
○外国直接投資減退と輸出鈍化に警鐘
報告書はまた、外国直接投資(FDI)の鈍化、先進国経済失速に伴う輸出の減退、貿易収支の悪化に警鐘を鳴らし、インド経済が成長の弾みを維持するには、工業用地買収手続きとインフラ・プロジェクトの環境認可手続き双方を合理化する必要があると指摘している。
○世界5番目の経済大国に
GDPの57.3%の比重を占めるサービス部門が成長の牽引役を務め、加えていわゆる人口統計学的配当(demographic dividend:就労人工比率が高いことに伴うプラスの経済効果)が政策的欠陥を補い、2011-12年度も高成長が維持される見通しだ。
報告書は、インドが英国とフランスを追い越し、米国、中国、日本、ドイツに次ぐ、5番目の経済大国になったとしている。
報告書は、効率的で信頼性の高いエネルギー供給が、国内経済成長を加速する前提になるとし、一次エネルギー消費の45%を占める石油とガスの国内生産比率が限られていることが、長期的な懸念材料と指摘している。それによると、エネルギー、とりわけ石油とガスの需要は今後急速に増大するが、国内資源は限られている。国際原油価格が急騰するなら、経済成長に対する下方圧力が急速に高まる見通しだ。欧州および米国経済の先行きも不透明で、主要先進国の一国でも深刻な経済危機が発生するなら直ちにインド経済に影響を及ぼす。しかし先進国経済に景気の二番底が生じる可能性はそれほど高くないと言う。
Mukherjee蔵相は「原油価格は上昇しているが、過去にもそうであったように、インド経済はこうした状況に耐えうる弾性を備えている」と語った。
○効率的サプライ・チェーン確立に注力
報告書は、物価の高騰に敏感に反応し、農業関連部門への投資を維持するハイ効率なサプライ・チェーン・マネージメントを確立することにより、第11次五カ年計画期間を通じ4%の農業成長率を達成する必要を指摘している。2004-05年度から2010-11年度の平均GDP成長率は8.62%を記録したが、農林水産業の成長率は3.46%にとどまった。農業および農業関連部門の総資本形成(GCF:gross capital formation)の対GDP比率は2004-05年度以来2.5~3%にとどまっている。
○9%の成長実現は困難:エコノミスト
インド政府は、次期会計年度は、今会計年度の予想成長率8.6%を上回る9%の成長が可能と、強気な見通しを発表したが、指導的エコノミストらは、インドが国内的および国際的に直面している逆風を配慮するなら、今会計年度並の成長を維持するのも決して容易でないと見ている。
エコノミック・タイムズが2月27日伝えたところでは、Ernst & YoungのAshwin Parekh氏は、「過去4ヶ月間にマクロ経済条件は、国内的にも国際的にも一変した」とし、「9%の成長を達成するのは極めて困難」と語った。例えばリビヤの政変劇が今後1ヶ月以内に収束するなら、さしたる影響はないものの、2ヶ月以上長引けば、深刻な影響は避けられない。現時点では見通しは立たないと言う。
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