【ニューデリー】インドと欧州連合(EU)は、2011年末までに自由貿易協定(FTA:free trade agreement)交渉を妥結させることを目指しているが、少なからぬ問題に直面している。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが2月18日報じたところによると、インドとEUは、2007年以来、商品およびサービス取引、知的財産権、政府部門の資材調達をカバーするFTA交渉を進めて来たが、EU交渉団は先月、欧州委員会に、インドと投資問題に関して話し合う権限を認めるよう求め、外国直接投資(FDI)、株式、債券、借款、利子、事業権益、動産、不動産、知的財産権、技術ノーハウを含む幅広い投資問題の協議に乗り出した。商品取引とは異なり、外国投資は経済的にも政治的にも極めて敏感な問題を含んでおり、インドがこれまで他国と結んだ関係協定は比較的狭い領域に限定されている。
EUはまたインドに対し内国民待遇(NT:national treatment)や最恵国待遇(MFN:most favoured nation)を要求している。 ○自動車業界、印欧FTAに懸念
【ニューデリー】インド政府が提案する欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA:free trade agreement)に対して自動車産業界にはある種の恐怖感を抱いている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが2月17日報じたところによると、完成車に対する輸入税が現在の60%から最終的に部品と同じ10%に引き下げられるなら、Daimler、BMW、Audi等の高級車メーカーは一夜にしてインド国内に膨大な顧客ベースを手に入れることができる。少なくとも10万台が、これらのメーカーによりもぎ取られることになる。インドでは現在60%の輸入関税に上乗せして、追加の諸税が課されるため、輸入車の税コストは100%以上にのぼる。 ○印欧FTA交渉、保健領域規則の整合性が課題に
【ニューデリー】インドが、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)交渉の過程でEU側の要求を受け入れるなら、保健領域の一連の国際スタンダードと規則を遵守せねばならないことになる。
ビジネス・スタンダードが2月21日伝えたところでは、例えば、EU側はインドに対し医療機器規制国際整合化会議(GHTF:Global Harmonization Task Force)の規則遵守を求めている。
インドは他のアジアの国々ともGHTFスタンダードに対する意見の相違を巡り、交渉を進めており、独自のガイドライン作成を目指している。その実、インドの一部の国内規則はGHTFより厳しい内容になっている。
インドはまた、医薬品規制調和国際会議(ICH:International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)のスタンダードに関しても、単に採用するのではなく、国内規則とICHの大部分の規則との整合性を図っている。 ○NGO、欧印FTA交渉巡り欧州委員会を告訴
【ニューデリー】インドと欧州連合(EU)の自由貿易交渉が最終段階を迎える中、オランダ拠点のロービー活動非政府監視機関、欧州企業監視機構(CEOb:Corporate Europe Observatory)は15日「業界団体に特権を与え、EUの透明性のルールに違反した廉で欧州委員会を告訴した」と発表した。
ビジネス・スタンダードとヒンドゥー・ビジネス・ラインが2月16/17日報じたところによると、訴えは、欧州委員会が、『Business Europe(EUの主要業界団体)』および『インド産業連盟(CII:Confederation of Indian Industry)』を含む業界ロビー団体に送付した電子メールや書簡、議事録を含む17件の書類に関係している。CEObによると、欧州委員会は、EUとインドのFTA交渉に関する情報を限られたものにのみ提供し、他のものには提供することを拒んでいると言う。