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2011-02-12 ArtNo.44429
◆総理府、インド宇宙研究機構の周波数域割当疑惑に反論
【ニューデリー】インド政府は8日、インド宇宙研究機構(ISRO:Indian Space Research Organisation)の商業部門Antrix Corporationが2005年に民間企業Devas Multimedia Private Limited(DMPL)と結んだ、通信衛星2基(いずれもまだ打ち上げられていない)のトランスポンダー・リース契約は、貴重な周波数域中のS-band70MHzの使用を認めるものとの、インド会計監査院長官(CAG:Comptroller and Auditor General of India)の見解が伝えられたことから、既に昨年7月に同契約を破棄したと発表、メディアの疑惑報道や野党の非難を打ち消した。
デカン・ヘラルド、ファイナンシャル・エクスプレス、ザ・ヒンドゥー、ヒンドゥー・ビジネスラインが2月8/9/10日伝えたところによると、ISROが時価20万クロー(US$444.4億)のSバンド周波数域を、カルナタカ州Bangalore拠点の民間企業DMPLにタダ同然で20年間にわたりリースしたとして野党が政府に釈明を求めたのを受けて、ISROのK Radhakrishnan会長兼宇宙局(Space department)次官が8日急遽記者会見した他、総理府も、「政府は、Sバンド周波数域をDMPLに割り当てる決定を下したことはなく、この問題で政府は如何なる損失も被っていない」との声明を発表した。野党陣営は、宇宙局が首相の管理下にあるため、Manmohan Singh首相を汚職捜査の対象に含めるよう要求していた。
K. Radhakrishnan氏によると、宇宙委員会(Space Commission)は、同契約が政府を困惑させ、政府の威信を傷つけることがないよう破棄する方針を決めた。ISROとDMPLとの契約を無効にするプロセスは2009年以来進行している。Radhakrishnan氏は「我々は、契約をキャンセルする前に法律問題を含め、様々な角度から検討を加えている。最も好ましい(契約を離脱するための)選択肢は政府に如何なる損失もダメッジも与えないこと」と付言した。
ISROのG. Madhavan Nair元会長によると、人工衛星を開発・製造・運営し、衛星関連のサービスをユーザーに提供するのがISROの使命であり、ISROには、周波数域を売ったり、割り当てたりする権限はない。ISROはインドで最もクリーンな組織であり、政府の声明は、ISROの周波数域取引により政府が損失を被ったとのメディアの誤った報道を論破したと言う。
デカン・ヘラルドが10日、政府のステートメントを引用し伝えたところでは、政府は、計画委員会(Planning Commission)のB K Chaturvedi委員を長とするメンバー2人の委員会を組織、AntrixとDMPLの契約の詳細に様々な側面から検討を加えていると言う。
○トランスポンダー・リース契約は依然有効:Devas
【ニューデリー】Devas Multimedia Private Limited(DMPL)のRamachandran Viswanathan社長兼CEOは8日、「DMPLはその手がける事業に関わる全ての認可を政府から受けている。Antrix Corporationとの契約は法的に依然有効であり、周波数域が割り当てられるのを待っている」と語った。
ファイナンシャル・エクスプレス、ヒンドゥー・ビジネスライン、ザ・ヒンドゥー、デカン・ヘラルドが2月10日報じたところによると、地元紙は、2010年5月「デジタル衛星マルチメディア放送(D-SMB:digital satellite multimedia broadcast)サービスを計画するDMPLが、インド宇宙研究機構(ISRO:Indian Space Research Organisation)からSバンド周波数域の使用を認められた」と報じた。Viswanathan氏によると、周波数域の割当は、契約に照らして2年以上遅れを来している。DMPLは、その実、周波数域を所有せず、ISROから衛星/周波数域がセットになったトランスポンダーを借り受けサービスを提供すると言う。
ちなみにDMPLの経営陣/取締役会/顧問団にはISRO、電気通信局(DOT:Department of Telecommunications)、国営電話会社Videsh Sanchar Nigam Ltd (VSNL)の元幹部やエンジニアが名を連ねている。M.G. Chandrasekhar会長兼MD自身、ISRO出身である。
一方、電気通信局(DOT)は宇宙局(DOS:Department of Space)に対し、Sバンド周波数域を、携帯電話用に明け渡すよう要求、両局は2009年以来同問題で対立して来た。
○国民会議派、首相を擁護
【ニューデリー】インド人民党(BJP)や全インド・アンナ・ドラビダ進歩同盟(AIADMK:All India Anna Dravid Munetra Kadgam)が、インド宇宙研究機構(ISRO:Indian Space Research Organisation)のSバンド周波数域割当疑惑を巡り、Manmohan Singh首相自身に釈明を求める中、与党国民会議派は9日、第三世代(3G)移動体通信周波数域の落札価格をSバンド周波数域に当てはめるのはナンセンスと反論した。
ビジネス・スタンダードが2月10日報じたところによると、3G周波数域の落札価格を基準にするなら、気象庁や治安機関、ラジオ局等は、遙かに低いコストで周波数域を割り当てられていると言う。
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