2010-08-25 ArtNo.43832
◆サプライヤー責任条項は地元業界にも打撃:FICCI/CII
【ニューデリー】インド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)とインド産業連盟(CII:Confederation of Indian Industry)は、それぞれ首相と科学技術相に宛てた書簡の中で、「原発事故民事責任法案(nuclear liability bill)のサプライヤー責任条項は、地元業界の原子力発電プロジェクトへの参加を躊躇させる恐れがある」と懸念を表明した。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインとファイナンシャル・エクスプレスが8月25日伝えたところによると、原発事故民事責任法案は、原子力設備の耐用期間60年と、20年の責任請求期間(claim liability period)を通じ、サプライヤーの意図的もしくは悪意ある行為(intended or malafide action)に伴う原発事故の発生に対する設備納入業者の責任を規定している。
FICCIのRajan Bharti Mittal会頭は、首相に宛てた書簡の中で、「この種の条文は、地元業界が、2032年までに6万3000MW(メガワット)の核発電能力を備えることを目指す高速増殖炉事業を含む3段階の計画等、将来の原子力発電プロジェクトに参画するのを阻害するばかりでなく、17の既存原子力発電施設へのサービス提供や国内のその他の新施設の建設への参加を阻害する」と指摘、「国際的に認められた12~24ヶ月を超えて設備納入業者の責任を追及することは、内外の技術提供者のプロジェクトへの参画を不採算なものにし、これらのプレーヤーの核開発事業への関心を喪失させる」と懸念を表明している。
Mittal会頭はさらに、原発事故に対するサプライヤーの民事責任規定は、中小企業を含む全てのサプライヤーの保険コストを大幅に増大させ、ひいては国家の長期的エネルギー供給計画にも影響を及ぼすと述べている。
CIIは、この点に関して、この種の民事責任をカバーする保険が存在せぬため、外国サプライヤーもプロジェクトへの参画を見合わせざるを得なくなるとしている。また原発事故が発生した際に外国サプライヤーはその責任を地元サプライヤーに転嫁する恐れがあり、結果的に国内原子力産業の成長を阻害すると言う。
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