【イスラマバード/ニューデリー】両国間の政治的テンションとは別に、パキスタン政府はインドとの経済貿易関係の改善に強い関心を寄せている。Shah Mehmood Qureshiパキスタン外相は、SM Krishnaインド外相との会談後、共同記者会見に先立って、「経済統合は、南アジア大衆の資質を高める機会を生み、人々の相互接触は対話を維持する環境の醸成に役立つ」との談話を発表した。
ファイナンシャル・エクスプレスが7月16/19日報じたところによると、インドのKrishna外相は15日、訪問先パキスタンのQureshi外相と、ほぼ3時間にわたり会談した。パキスタン外務省のオフィスで会談した両外相は、パキスタンを拠点にするテロリストの活動や、ムンバイ襲撃事件の関与者、取り分けラシュカレトイバ(Lashkar-e-Toiba)工作員として米国で拘束されたパキスタン系米国人David Headleyの供述から露見したものに対する処置を含む多くの二国間問題に関して意見を交換した。
Krishna外相にはNirupama Rao外務次官とSharat Sabharwalパキスタン駐在高等弁務官が同伴し、パキスタン側からはRahman Malik内相やSalman Bashir外務次官らが会議に参加した。
消息筋によると、全ての問題は、オープンでフランクな空気の下で話し合われ、率直な意見交換がなされた。インドとの貿易や経済関係の強化に強い関心を寄せるパキスタンは、外相会談後、商務次官会議を催すことをインド側に提案した。
インド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)筋によると、両国は2006年に発足した南アジア自由貿易圏(SAFTA:South Asia Free Trade Area)に属しているが、二国間貿易の現状はその潜在性を全く反映していない。二国間往復貿易総額は2000年の5億米ドルから2008年の20億米ドルに拡大したが、インドの貿易総額に占める比率は0.5%、パキスタンの貿易総額に占める比率は1%強にとどまっている。しかし湾岸諸国等の第三国を経由した貿易額が、別に80億米ドルにのぼる。このため外務次官会議の席でインドは貿易品目を拡大する意向を表明した。
消息筋によれば、貿易品目のポジティブ・リストを作成するよりは、むしろネガティブ・リストを作成すべきであり、相互に最恵国待遇を認めるべきだある。パキスタンはインドに対してオープン貿易戦略を採用、取り分け競合せぬ品目の自由化を進めている。パキスタンはあらゆる種類の産物をインドに輸出することを認める一方、1938品目のインドからの輸入を認めている。これに対してインド側はパキスタンへの輸出やパキスタンからの輸入を規制していない。
一方、Krishna外相は、今回の訪問期間にAsif Ali Zardari大統領とも会談、テロリスト問題等を協議した。パキスタン大統領府の発表によると、Zardari大統領は、「パキスタンとインド両国民の運命は、また地域全体の成長は、両国間の友好的な協力関係にかかっている」と述べ、テロや暴力行為を防止するための両国間のタイムリーな情報交換と情報共有の必要性を指摘するとともに、「テロ事件は両国の将来の関係に影響を及ぼさない」と語った。大統領は、インドとパキスタンの関係回復を歓迎、「両国には対話を維持し、地域の向上と発展のために、両国関係を対立から協調に導く責任がある」とし、「複合的対話の再開は、二国間の誤解を解き信頼関係を再建するのに役立つ」と付言した。