【ニューデリー】Union Carbide Corporation (UCC)の親会社Dow Chemical Company(DCC)は22日、UCC子会社のマドヤプラデシュ州Bhopal工場で1984年に発生したガス流出事故の民事責任は既に清算され、インド政府により完全に解除されたと発表した。
デカン・ヘラルドが6月22日伝えたところによると、DCCのスポークスパースンScot Wheeler氏は、PTI通信に対し以上の見解を語った。それによると、インド政府は1989年に、議員立法(Act of Parliament)に基づき、ガス流出事故の被害者に代わり、4億7000万米ドルで、UCCとその子会社Union Carbide India Limited(UCIL)のガス流出事故に関わる一切の民事責任を解除した。インドの最高裁判所も、同措置を支持するとともに、同事故を巡る訴訟の最終決着であると認めている。したがってUCCには最早如何なる法的責任も存在しない。仮に補償額に不足が生じるなら、それはインド政府により補填されねばならない。
DCCは、UCILのボパール工場を所有したことも、相続したこともない。DCCがUCCを買収した際、UCCは既にUCILを売却し、インド・ビジネスを手がけていなかった。またUCCとUCILは当初から異なる取締役会と異なる従業員により経営される別組織だった。ボパール工場を所有し、経営していたUCILは、依然存続しており、社名をEveready Industries India Limitedに改めているが、DCCは同社と如何なる関係も有しない。したがってボパール工場とDCCを結びつけようとする試みや努力は誤りである。
DCCは1999年にUCCを買収したが、UCCはUCILの50.9%の持ち分をそれ以前の1994年にMcLeod Russell (India) Limitedに売却している。後者は現在社名をEveready Industries India Limitedに変更していると言う。
ヒンドゥー・ビジネス・ライン、ザ・ヒンドゥー、ビジネス・スタンダードが22日伝えたところでは、ガス流出事故の地裁判決の検討を委ねられた閣僚グループ(GOM:Group of Ministers)は、被害者に対する約1500クロー(US$3.261億)の補償パッケージを政府に提案したものと見られる。これには遺族に対する犠牲者1人当たり100万ルピー(US$2.17万)と永久身体障害者1人当たり50万ルピー(US$1.09万)の補償が含まれているもようだ。1500クロー中1320クローは中央政府が、180クローはマドヤプラデシュ州政府が、それぞれ負担する。
事故被害者や遺族にはこれを歓迎するものが有る反面、補償額の算定基準の誤りを指摘するものも存在する。野党インド人民党(BJP)は政府の補償支払いを一応歓迎する一方、UCCのWarren Anderson当時会長の国外脱出問題が何ら取り上げられなかったことに遺憾の意を表明した。