【ニューデリー】ウッタルプラデシュ州Pataに年産41万トンのプラントを有し、シェア20%で、国内ポリマー市場のキー・プレーヤーを務めているGas Authority of India Ltd(GAIL)は、Pataプラントの年産能力を100万トンに拡大するとともに、アッサム州に他社と合弁で新プラントを建設する。
ファイナンシャル・エクスプレスが6月7日伝えたところによると、Pata工場の製造能力は世界的な業界平均キャパシティーを下回っているが、拡張後は規模の経済性を発揮できる。Pataプラントは内陸に位置するため、輸出市場を開拓するのは難しい。また拡張計画が完成するまでは規模の経済性も望めないが、低コストな天然ガスを原料としているため、ナフサを原料としている同業他社に対しては競争力を有する。
現在天然ガスの1mmBtu(million metric British thermal unit)当たりコストは6米ドル、これに対してナフサは同12~15米ドルにのぼる。この結果、GAILの石油化学ビジネスの同社売上げに占めるシェアは低いにも関わらず、同社利益に占めるシェアは33%にぼる。石油化学ビジネスのプロフィット・マージンも30%以上と、ガスの輸送/マーケッティング・ビジネスの18~20%を遙かに上回っている。GAILは全国に地域オフィス網を有するためマーケッティング面でも他社に対して優位に立っている。
GAIL/Oil India Ltd(OIL)/Numaligarh Refinery Ltd(NRL)/アッサム州政府が70:10:10:10の出資率で設けたBrahmaputra Cracker and Polymer Ltd (BCPL)は、およそ12億5000万米ドルを投じアッサム州Dibrugarh県Lepetkataにガス・クラッカーを設けるとともに、天然ガスとナフサを原料にポリマーを製造する。
原料のナフサはOil and Natural Gas Corporation Ltd(ONGC)のグジャラート州Haziraとマハラシュトラ州Uranのガス処理施設から供給を受け、また付近のC2/ C3抽出ユニットからエタンとプロパンの供給を受ける。
BPCLプラントは年間110万トンのエチレン、同34万トンのプロピレン、同13万5000トンのベンゼン、同9万5000トンのブタジエンを製造する。東北諸州は中央政府の統制価格制度の下、他の地域より低価格でガスの供給を受けられ、合弁プロジェクトもその恩恵を享受できる。新設備は4年内に稼働する。
インド北部には下流部門のプラスチック産業が成長しており、ポリマーの膨大な需要が存在するため、拡張後のPataプラントの製品は容易に吸収される見通しだ。
しかし、アッサム州には下流部門産業が存在せぬため、アッサム州内の需要は期待できない。したがって商業的採算性を実現するには、同時に下流部門産業も興す必要がある。
GAILはまたONGCがグジャラート州Dahejに建設する年産110万トンの石油化学コンプレックスの営業主体ONGC Petro Additions Ltdにも19%出資している。同プロジェクトは2012年末の稼働を予定しており、国内におけるポリマー製品のマーケッティング権をGAILに与える可能性も予想される。
ポリマー・ビジネスには政府の統制がなく、市場原理が機能している。したがってプレイヤーは市場の需要や立地条件に従って輸出と輸入を同時に手がけることができる。目下、国内ポリマー需要の16%は輸入により賄われており、政府は最近ポリマーの輸入税を5%に引き下げた。中東に新たな製造施設が建設されていることもあり、今後輸入比率はされに高まるものと予想される。