2010-05-18 ArtNo.43412
◆自動車産業、急成長に伴う部品供給不足とコスト上昇に直面
【ニューデリー】自動車需要が急増する中、燃料噴射装置や機械部品等、キー・コンポーネントの供給不足が顕在化している。その一方で、インプット・コストの上昇と、親会社のコスト削減圧力に直面する自動車部品業者は、納入契約に何とか価格変動条項を組み込もうと努めている。
ファイナンシャル・エクスプレスが5月14/15日伝えたところによると、2009-10年に自動車産業は26.41%の成長を遂げたが、自動車部品産業の売上げは前年比14%増の9万50クロー(US$202.34億)にとどまった。国内最大の自動車部品会社Sona Koyo Steering SystemsのSurinder Kapur会長によると、乗用車の需要が急増したことに加え、自動車部品産業が無数の小企業から成っていることも、自動車コンポーネントの供給不足に拍車をかけた。取り分け2級(tier II)、3級(tier III)都市の自動車部品産業は再編統合の時機を迎えていると言う。
Apollo TyresのNeeraj Kanwar会長兼MDは、「タイヤ産業は突然の需要急増に対応不能に陥ったが、自動車産業自体、こうした需要の急増は予想していなかったものと見られる」と語った。
ハリヤナ州の自動車部品産業ベルト、Gurgaon-Manesar地区に生じた労働争議の波も事態を複雑化させた。匿名の筋によると、昨年生じたストライキは生産の大幅な落ち込みを生じさせた。現在は比較的平穏になっているものの、労働争議は今もコンスタントに生じており生産に影響を及ぼしている。
Kapur氏によると、供給不足は基本的に設備能力不足に伴うものだが、部品業界の少なからぬ企業は資金難で設備拡張ができない状況にある。資金を借り入れるには、健全なバランス・シートを示さねばならないが、そうした条件を満たす企業は少ないと言う。
自動車部品製造業者協会(ACMA:Automotive Component Manufacturers' Association)筋は、少なからぬ企業が設備拡張投資を行っているものの、新設備が稼働するには時間を要すると指摘した。
Maruti Suzuki IndiaのRC Bhargava会長は、供給不足は懸念材料だが、同社は頻繁に納入業者と連絡をとり、目下のところ十分なストックを確保していると語った。
General Motors IndiaのP Balendran副会長は、供給不足は主に納入業者が、予め計画を立て準備することを怠ったためと指摘した。
一方、インプット・コストの上昇に直面する部品納入業者は、元来低マージンなため、こうしたコストの上昇を自ら負担することは事実上不可能と語る。このためスチール、亜鉛、銅、ゴム等の主要原料価格が10~12%上昇したら納入価格に見直しを加える価格変動条項を契約に挿入できるか否かが死活問題と言う。
Maruti Suzukiは、4月と12月に契約を更新、契約期間は12ヶ月、Hyundai Motor Indiaは毎年1月に契約を更新、契約期間は6~12ヶ月で、一旦契約しら契約期間中は納入価格に変更を加えないのがこれまで慣例となっていた。
Minda IndustriesのSudhir Jain常務取締役(ED)は、一部のカー・メーカーと価格変動条項を契約に盛り込む交渉を進めていると語った。ACMAもこうした動きを支持していると言う。
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