SEAnews 2010-05-07 ArtNo.43384

【ニューデリー】中央および地方の少なからぬ政党が、既存の国勢調査方式を修正し、カーストを含めるよう要求する中、政府は水曜(5/5)の国会討論に先立って政府の統一見解を定めるため、同問題を閣内で話し合ったが、閣僚の間に大きな意見の隔たりが存在することが明らかになった。
ザ・ヒンドゥーが5月5日、政府筋の消息として報じたところによると、閣内の意見は概ね、①カーストに関する如何なるデータ収集にも反対するもの、②国勢調査にカーストを含めることを支持するもの、③国勢調査以外の調査を通じてカーストに関するデータの収集を支持するものの3つに大別された。
インドは1881年に国勢調査を開始した後、1931年までカーストごとの人口調査を行って来た。しかしその後の80年間は指定カースト(SC:scheduled caste)と指定部族(ST:scheduled tribe)を除き、いわゆる『その他の後進階級(OBC:Other Backward Classes)』に関するデータの収集を行っていない。このため、一部のものは、OCBCの人口に占めるシェア、したがって雇用割り当て等の経済的留保(reservation pie)の比率は、後進階級委員会(Mandal Commission:Backward Commission)が過去数十年の統計から外挿的に算出(extrapolate)した数字よりも高いと、主張している。
火曜(5/4)の閣議の席上、P. Chidambaram内相は、「現場で統計データを収集するものは、カーストやサブ・カーストに基づく人口記録やクラス分けに対する十分な社会学的感受性を備えていない。したがってこの種の調査は州や中央レベルの後進階級委員会が手がけるのが妥当である」と指摘した。ちなみに内務省は国勢調査にカーストを含めることに反対している。Pranab Mukherjee蔵相やKapil Sibal人的資源相も国勢調査にカーストを含めることに反対する意見を述べた。Manmohan Singh首相は、閣内や統一進歩連合(UPA:United Progressive Alliance)内部で、一層の討議を行う必要があると述べ、この日の会議を締めくくった。
インド人民党(BJP:Bharatiya Janata Party)、社会党(SP:Samajwadi Party)、国民人民党(RJD:Rashtriya Janata Dal)、人民党統一派(JDU:Janata Dal United)、インド共産党(CPI:Communist Party of India)等の野党は、カーストに基づいてリザベーションやその他の利益が配分される以上、国勢調査にカーストを含めるべきだと主張している。
UPI政権は、結局、現在実施中の国勢調査はこれまで通り行い、カーストを含めぬ方針を決めたが、インド社会におけるカーストに関するより正確な統計データを別の方式で収集することを検討する用意があると言う。