【ムンバイ】インドの鉄鉱石輸出は、中国の需要軟化と輸出税の引き上げで昨年のおよそ1億メートル・トンから2011年3月期年度の約7500万トンに最大25%の落ち込みが予想される。
エコノミック・タイムズとヒンドゥー・ビジネス・ラインが5月1/3日報じたところによると、インド鉱業連盟(FIMI:Federation of Indian Mineral Industries)のSiddharth Rungta会頭はこのほど以上の見通しを語った。中国政府が不動産市況の過熱を抑制する動きを見せる中、中国における鉄鉱石価格は過去1週間下降線を辿っている。
一方、Pranab Mukherjee蔵相は4月29日、鉄鉱石塊鉱の輸出税率を10%から15%に引き上げると発表した。インド政府は2009年12月24日粉鉱石に5%の輸出税を課すとともに、塊鉱の輸出税をそれ以前の2倍の10%に引き上げた。
Rungta氏によると、今年に入って以来鉄鉱石輸出は下降線を辿っている。国内鉄鋼メーカーの鉄鉱石消費量は、国内における鉄鉱石生産量を遙かに下回るため、鉄鉱石の生産も下降するものと予想される。鉄鉱石の鉄道輸送料金も過去3ヶ月間に50%近くアップした。このことも鉄鉱石の出荷量の下降につながる可能性がある。輸出向け鉄鉱石のトン当たり鉄道運賃は、5月1日からさらに2000ルピー以上に100ルピー、およそ2.25米ドル引き上げられた。
FIMIのR.K. Sharma事務局長によると、鉄鉱石(粉鉱石/塊鉱)の輸出は、2006-07年9379万トン(7849万トン/1530万トン)、2007-08年1億427万トン(8940万トン/1487万トン)、2008-09年1億587万トン(9217万トン/1370万トン)と推移している。
インドは2010年3月期年度に2億2000万トン以上の鉄鉱石を生産、内9500万トンを国内消費し、約1億トンを輸出した。2009-10年の塊鉱輸出は約1100万トンと見積もられ、過去4年間に28%下降したが、2010-11年の輸出は500万~600万トンに半減する見通しと言う。
Union Bank of Switzerland(UBS)は4月22日、「中国経済の成長鈍化に対する懸念から鉄鉱石のスポット価格は今後数週間に30%下降する可能性がある」との見通しを発表した。