【ムンバイ】所得税局(ITD:Income Tax Department)は21日、インドのプロ・クリケット・リーグ『Indian Premier League (IPL)』関係企業のオフィスを一斉捜査した。消息筋によると、今回の捜査は、IPLのテレビジョン代理を務めるMulti Screen Media(MSM:旧社名 Sony Entertainment Television)が、IPLのマーケッティング代理を務めるWorld Sports Groupに支払った8000万米ドルに関係しているようだ。
デカン・ヘラルドが4月21日伝えたところによると、この日早朝、ITDのチームは、MSM、WSG、そしてIPL組織代理を務めるIMG(International Management Group)のオフィスの他、WSG最高経営者(CEO)Venu Nair氏の私邸を捜査した。
WSGは20日、「WSGがサブ・ライセンス料収入を不適切に使用もしくは非合法な活動に用いたとする説は全く根拠がなく、名誉回復のための必要な措置をとる」との声明を発表した。
WSGは2008年に9億1800万米ドルでIPLのTV放映権を落札、IPL関連の催しに1億800万米ドルを支出することを約束した。WSGはその後、ソニーを公式の放送権者に指名する契約をMSMと結んだ。しかしIPL-2開催の2ヶ月前になって同契約は破棄され、MSMが9年間に16億3000万米ドルを支払うことで改めて合意が成立した。
ITD筋によると、MSMはWSGのモーリシャス拠点の子会社に契約額の7.5%、約8000万米ドルを便利費(facilitation fee)として支払うことを認めた。MSMはシンガポール開発銀行(DBS)を通じ、2009年4月14日に1530万米ドル、2009年6月26日に1027万6000米ドルを、それぞれ送金した。インドクリケット協会(BCCI:Board of Control for Cricket in India)は、この点に関してWSGのVenu Nair重役(CEO)の事情聴取を行ったと言う。
他方、地元企業AdaniとVideoconは21日、T20 cricket teamを獲得するために、如何なる閣僚やその親族にもスウェット・エクイティーを提供したことはないとの、声明を発表した。報道によれば、先週、IPLオフィスを捜査したITDのチームは、両社の入札申請書類が消失していることを発見したと言う。
ファイナンシャル・エクスプレスが23日伝えたところでは、Reliance Industries Ltd (RIL)とGMRを含む地場大手企業は、大蔵省に対して、IPL問題を一体どこまで追及するつもりか、政府の真意を質した。RILのMukesh Ambani会長はMumbai IPLチームを保持し、DMRはDelhiチームのオーナーを務めている。これらの企業は、IPLフランチャイズ企業の所得隠しやこの種の問題の背後の人物に関するITDの捜査結果が漏洩すること、さらには避税地を利用した投資にまで捜査が及ぶことを懸念している。
これに対して大蔵省オフィシャルは何故こうした捜査が行われねばならないかを説明するとともに、魔女狩りは行わないことを保証したと言う。