2010-04-09 ArtNo.43287
◆IT企業、BPOセンターをラテン・アメリカにシフト
【バンガロール】一時、外国企業がBPO(business process outsourcing)センターを設ける最適地と見なされていたインドが、その声を失いつつある。
ファイナンシャル・エクスプレスが4月5日業界筋の言を引用し報じたところによると、音声サービスをベースとしたBPO産業にとって良質な人材が不足しており、Tata Consultancy Services(TCS)やWiproを初めとするIT企業は海外にサービス拠点をシフト。この方面の優秀な人材が豊富に存在するブラジル、メキシコ、アルゼンチン、ペルー等のラテン・アメリカが新たなBPOのホットスポットになっている。IBM、TCS、Accenture、Unisys等はすでにこれらの国にBPOセンターを設けている。Wipro Technologiesも最近ブラジルのCuritibaにBPOセンターを設け、20社ほどの顧客にサービスを提供している。
BPO産業の父と称されるQuatrro BPO Solutions社のRaman Roy会長兼MDによると、BPO産業の人材需要は膨大だが、インドの二級三級専門学校(tier-II and tier-III colleges)はほとんど雇用不能な卒業生を生産している。英語能力を備えた人材が不足しており、例えば、コロンボでは3週間か4週間訓練すれば、実戦配備が可能だが、インド国内では12~15週間訓練しても就業可能な水準に達しないと言う。
Aditya Birla MinacsのRamesh Kamath財務担当重役(CFO)によると、ラテン・アメリカは米国に近接していると言う地理的に有利な条件を備えている上、ラテン・アメリカの人材はインド人に比べ米国顧客への対応に適している。同氏は「アクセントが全てではない」と付言した。
業界観測筋は、10~11%に達する離職率もインドの難点の1つと指摘する。昨年は少なからぬ顧客がインドBPOセンター・スタッフのコミュニケーション・スキル問題に直面したが、Wipro BPOの顧客KLMもその1つと言う。
24/7 Customer創業者のS Nagarajan氏によると、全く無経験なインドIT企業がBPOビジネスに殺到した結果、多くの顧客が失望し、インドBPOセンターから去っていったと言う。KPMGのKumar Parakala主任(ソーシング担当)によると、現在はトップ企業のみが成長しており、他のBPO企業はおしなべて問題に直面している。同業界の有機的成長率は10~15%に過ぎないため、非有機的成長(合併買収)の道を探る必要があると言う。
ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)によると、インドBPO産業の市場規模は147億米ドルで、100万人を雇用している。
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