【ニューデリー】首相経済諮問委員会(PMEAC:Prime Minister's Economic Advisory Council)は今会計年度の資本純流入(NIC:net capital inflow)予測を、これ以前に発表した550億米ドルから500億米ドルに下方修正した。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが12月4日報じたところによると、経済協力開発機構(OECD)とインド国際経済関係調査委員会(ICRIER:Indian Council for Research on International Economic Relations)が3日共催した『OECD-India symposium』の会場で、PMEACのDr C. Rangarajan委員長は記者団に以上の見通しを明らかにした。
それによると、資本の純流入には、外国機関投資家(FII)によるポートフォリオ投資、外国直接投資(FDI:foreign direct investment)、海外商業借款(ECB:external commercial borrowing)が含まれる。2008-09年は純資本流出が生じたが、その後流入が拡大しており、下半期には一層の流入が予想される。
これまでのところ資本の総流入(GCI:gross capital inflow)は440億米ドルに達しているが、ECBの返済やFDIの流出を差し引く必要がある。この種の資本流入は管理可能で、通貨当局に問題をもたらすことはない。
PMEACは2009-10年の国内総生産(GDP)成長率が約7%に達すると見ており、2010-11年のそれは7-8%と予想している。世界の経済環境が改善すれば、2011-12年のGDP成長率は9%のレベルまで回復するものと予想される。
今会計年度の経常収支赤字は約250億米ドルと見積もられ、これはGDPの約2%に相当する。この程度の赤字は資本純流入で容易に相殺でき、外貨準備は依然300億米ドルに達する見通しだ。今年初9ヶ月の外貨準備の推移から見ても、PMEACのこうした見通しは妥当なものと言え、譬え300億米ドルに達しないとしても誤差は僅かと見られると言う。
しかし中央銀行Reserve Bank of India(RBI)のUsha Thorat副総裁によると、資本流入の管理は益々難しくなっている。取り分け外国機関投資家の活動が、市場の変動に拍車をかけている。2008-09通年のFII純流出額は150億米ドルに達したが、今会計年度は11月20日までに190億米ドルのFII資金が流入している。一方、今年初以来の外国直接投資(FDI)流入額は177億米ドルとなっており、昨年(2008-09)通年の流入額は350億米ドルだった。資本の流入と資産価値は相関関係を有し、資本流入の変動は、国内経済の不安定要因になる。このため資本の流れの管理は極めて重要と言う。
一方、ビジネス・スタンダードが2日伝えたところによると、Jyotiraditya Scindia商工担当国務相は国会上院における書面での答弁において、2009-10年上半期(2009/4-9)のFDI流入額が152億7204万米ドルと、前年同期の172億1117万米ドルに比べ約11%減少したと報告した。同相によると、FDI流入額は2004-05年の32億米ドルから2008-09年の273億米ドルに年々増加して来たと言う。