2009-10-02 ArtNo.42705
◆鉄鋼年産能力を3年で2倍に拡大する政府目標に懐疑
【ニューデリー】国内鉄鋼年産能力を3年内に2倍の1億2400万トンに、そして2015年には1億5000万トンに拡大すると言う政府の予測を、信じるものは多くない。一部の外国鉄鋼メーカーや地元企業が約束した大型投資プロジェクトがどれ一つ離陸していないことも、こうした懐疑を生じさせる理由の1つと言える。
ビジネス・スタンダードが9月29日報じたところによると、地元の反対を回避して用地を確保し、鉄鉱石と石炭供給のアレンジを行い、支援インフラ整備の資金を調達する等、全ての必要条件を満たすまでは、年産1200万トン規模の製鋼施設に5万クロー(US$104.17億)を投資する企業家は存在しない。
とは言え、Virbhadra Singh鉄鋼相は、2012年までに年産能力を1億2400万トンに拡張すると言う見積もりには、ArcelorMittalやPoscoのプロジェクトは含まれていないと指摘する。同相によると、既存施設の拡張計画だけで今後3年間に新たに3300万トン近い年産能力が追加される。確かにTata Steelは1万4000クロー(US$29.17億)近くを投じJamshedpur製鉄所の年産能力を現在の680万トンから2011年までに1000万トンに拡張する。同期間にはEssarやJindal Steel and Power Ltd(JSPL)を含む少なからぬプレヤーが既存施設の拡張を計画しており、国営製鉄会社Steel Authority of India Ltd(SAIL)は大規模な機械設備の発注を準備している。
シン鉄鋼相によると、年産50万~100万トン・クラスの多くの新規鉄鋼プロジェクトも進捗を見ており、これらを加えるなら1億2400万トンの目標までの道のりはそう遠くない。さらに海綿鉄業界、誘導炉業界、電炉業界等、二次鉄鋼メーカーの拡張計画も存在すると言う。
とは言え、インド鉄鋼産業の長期的な自立基盤を築くには、新規プロジェクトが欠かせないことを、シン鉄鋼相も認めぬ訳にはいかない。
ArcelorMittalのプロジェクトが直面する主要なハードルは1万エーカーの用地を確保すること。土地問題は少数部族や非政府組織の反対に直面し政治問題化しつつある。また急成長する国内鉄鋼市場は投資家にとって1つの誘因と言えるが、PoscoやArcelorMittalがインドへの投資を思い立った主因は、鉄鉱石と石炭資源の存在である。目下のところArcelorMittalはキャプティブ発電用に2つの石炭鉱区の権利を獲得したに過ぎない。ちなみにSAILは最近チャッティースガル州Rowghatの5億1000万トンの鉄鉱山の採掘権を手に入れたが、同社はこのために25年を費やしている。
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