【ニューデリー】インドは自動車の輸出で中国を凌駕、タイや韓国に抗してアジアにおける代替製造センターとして浮上しつつある。
インディアン・エクスプレスとエコノミック・タイムズが9月8日、インド自動車製造業者協会(SIAM:Society of Indian Automobile Manufacturers)のデータを引用し伝えたところによると、インドの年初7ヶ月(2009/1-7)の乗用車、バン、スポーツ多用途車(SUV:sport-utility vehicles)、トラックの輸出台数は前年同期比18%増の22万9809台をマークした。これに対して中国の同期の輸出台数は前年同期比60%減の16万5000台にとどまった。またタイにおける輸出用車輌の生産台数は前年同期比43%減の26万3768台、韓国の車輌輸出台数は前年同期比31%減の112万台にとどまった。
インドは同期にミニカーとハッチバックを前年同期比44%増の20万1138台輸出した。
インドの自動車市場規模はまだ中国の19%に過ぎないが、輸出に関しては、すでに中国を凌駕、今後も一層の成長が予想される。低い労働コストに加え、低水準に設定された物品税(8%)が、スモール・カーの製造拠点としての競争力を高めており、Suzuki、Hyundai、Nissan、General Motors、Toyota等が続々進出している。
Intelligence Automotive Asia Ltdのロンドン拠点のAshvin Chotai重役(MD)によると、販売される乗用車の4台に3台がコンパクト・カーと言う市場の特性に加え、インドに製造拠点を設ける外国自動車会社は地元企業との合弁を強いられない。これに対して中国では地元企業との合弁が義務づけられている。こうした点からも輸出拠点を求める外国企業にとって、インドは中国に比べ魅力があり、利益の一部を地元パートナーと分け合う必要もない。
IHS Global Insight Incのパリ拠点のTim Armstrong取締役によると、2015年にはインドから輸出される車輌69万台の95%がスモール・カーになる見通しだ。2016年には、インドは、スモール・カーの製造台数で日本とトップの座を分け合う可能性がある。目下のところインドの保持する専門技術はスモール・カーに特化しており、自動車メーカーが新たな輸出拠点を設ける際の候補地の筆頭にインドを挙げるのも無理からぬことと言う。