2009-07-24 ArtNo.42466
◆US$369億核発電計画餌にENR技術獲得目指す
【ニューデリー】インド政府は、センシチブなウラン濃縮再処理(ENR:Enrichment and Reprocessing)技術にアクセスし、エネルギー不安を解消する狙いから、ロシア、フランス、米国3国に対し、総額18万クロー(US$368.82億)、3万MW(メガワット)の原子力発電プロジェクトをオファーした。
ビジネス・スタンダードが7月22日伝えたところによると、インド政府は、原子力発電プラントの使用済み燃料がENR技術を用いて再処理されるのではないかと言う米国の懸念を和らげるため、今月末までに保障対象になる核施設の分離計画を、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)の管理に委ねる方針だ。
このほど5日間の日程でインドを訪れた米国のHillary Clinton国務長官は、Manmohan Singh首相から1万MWの民生用核発電施設を米国企業から購入するとの約束を取り付けた後、東南アジア諸国連合(ASEAN)会議に出席するため次の訪問地タイに向かった。
インドの原子力発電事業を統括するNuclear Power Corporation of India(NPCIL)は2007年8月に、『インド・米国原子力協定(Indo-US nuclear deal)』の合意を受け、合計4万5000MWの核反応炉25基の据え付けを予定する4つの『原子力発電パーク(nuclear power parks)』を公共民間協力(public-private partnership)方式を通じて全国に設けるよう提案した。その後原子力局(DAE:department of atomic energy)の用地選考委員会は、4つのパークの候補地としてグジャラート州、アンドラプラデシュ州、オリッサ州、西ベンガル州をリストアップした。
この内、米国企業に割り当てられるグジャラート州とアンドラプラデシュ州の2つのサイトはなお未定だが、グジャラート州Saurashtraとアンドラプラデシュ州のKowadaも オくはPulivendulaになるものと予想されている。日本経済新聞がこのほど報じたところでは、東芝傘下のWestinghouse Electric CoとGE-Hitachiが両原子力パークへの発電施設の納入契約を獲得する見通しだ。
昨年9月にウィーンで催された原子力供給国グループ(NSG:Nuclear Suppliers Group)45カ国の全体会議の席上、米国が提案したインドに対する核貿易禁輸措置解除案が承認されたことから、インドは核不拡散協定(NPT:Nuclear Non-Proliferation Treaty)に調印せずに国際核貿易に参加することが認められた唯一無二の国になった。
先週イタリアで催されたG8サミットでは、インドのようなNPT未調印国のENR技術へのアクセスを制限することが改めて確認されたが、Pranab Mukherjee蔵相は「それほど深刻に懸念していない。何故ならフランスやロシア等の国と別途結んだ協定を進めることができる」とコメントした。
インドは、これまでに今後25年間に建設する各1万MWの原子力発電施設を米国、ロシア、フランス3国から購入することを約束している。この他、カナダ及び英国と核枠組み協定(framework nuclear agreements)を結ぶと言うカードも残されている。今年1月の共和国記念日には、カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ(Nursultan Nazarbayev)大統領を主賓として招き、同国とも核燃料と関連技術に関する協定を結んでいる。これらの核貿易協定では、それぞれ異なる度合で、民間企業の参画が認められており、国営原子力発電公社NPCILがエンド・ユーザーを務める。
ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領が2008年12月に訪印した際に、調印されたインド・ロシア政府間協定(Indo-Russian inter-governmental agreement)では、タミールナド州Kudankulamに増設される各1200MWの核反応炉4基の製造がロシア国営Atomstroiに委ねられた。同地には既に2基の核発電施設が設けられている。同協定には、ロシア製核反応炉が据え付けられる別のサイトも言及されているが、具体的場所はまだ決まっていない。
フランス政府が約84%の権益を握るArevaは、マハラシュトラ州Jaitapurに各1650MWの欧州加圧水型炉(European pressurised reactor)2基を先ず建設、その後別に4基を増設する。Arevaは核反応炉の耐用期間を通じ、核燃料を供給することを保証している。
インドは、今年2月には国産核反応炉用に7億米ドルで2000トンの核燃料をロシアから購入する契約を結んでおり、先週、第1回目の納入が行われた。インドは昨年12月にもフランスと300トンの核燃料購入契約を結んでいる。
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