2009-07-17 ArtNo.42437
◆ミタル、オリッサ州鉄鋼事業を少なくとも2年棚上げ
【ムンバイ】ArcelorMittalは、世界的な需要の減退から、オリッサ州に年産1200万トンの鉄鋼プラントを設ける計画を少なくとも2年延期する方針を決めた。しかしジャールカンド州に同規模の鉄鋼プラントを設ける計画は続行する。
ビジネス・スタンダードが7月15日伝えたところによると、アルセロール・ミタルは同紙の質問にEメールで以上の回答を行った。それによるとオリッサ州におけるプロジェクトが2014年以前にスタートすることはない。しかしジャールカンド州におけるプロジェクトは既に鉄鉱山を手に入れ、石炭の供給も確保しており、当初の計画通り実行する。インドにおけるプロジェクトは何れも新規プロジェクトのため、用地の確保や環境問題の処理等に多くの時間を要する。とは言えインドにおける投資約束は実行すると言う。
ロンドン拠点のアルセロール・ミタルは、2005年末にオリッサ州とジャールカンド州に各年産1200万トン、4万クロー(US$81.96億)の鉄鋼プラントを設ける計画を発表、今年末までに着工し、2014年までに稼働させることを目指して来た。同社が全世界で手がけるプロジェクトの中でこれら以外に新規鉄鋼プロジェクトは存在しない。
消息筋によれば、世界的な需要の減退の他、オリッサ州Keonjhar県Patna郡の少数部族居住地における約8000エーカーの用地の確保が、プロジェクトの実行を阻む主要なハードルになっている。外部の活動家に支援された少数部族はプロジェクトに反対している。アルセロールミタルはジャールカンド州においても少数部族の反対に直面している。これまでにオリッサ州政府は約1500エーカーの土地を確保したに過ぎない。一方、アルセロール・ミタルもこうした用地に対する支払いを滞らせており、このことも州政府の土地収用作業を遅らせる原因になっている。アルセロール・ミタルはまた2008年末になってやっと詳細プロジェクト報告書(DPR:Detailed Project Report)を提出した。
計画の遅延はプロジェクト・コストを50%ほど膨張させたものと見られる。Credit Suisseは、アルセロール・ミタルがオリッサ州プロジェクトの遅れにより90億米ドル余計に支出せねばならないと試算している。
韓国の鉄鋼メーカーPoscoがオリッサ州で進める116億米ドルの総合鉄鋼プロジェクトも用地の確保や手続き処理問題に直面、立ち往生している。Tata Steelのジャールカンド州/オリッサ州/チャッティースガル州における新規鉄鋼プロジェクトも2~3年遅延している。
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