【ニューデリー】Mamata Banerjee鉄道相が4日国会に上程した2009-10年鉄道予算案は、乗客運賃の値上げも貨物運賃の値上げも見送る一方、大衆指向の一連の措置を盛り込んでいる。これらの措置には特急長距離列車12本の運行、主要都市間のルートにエアコン付き二階建て客車を導入、貧困者向け25ルピー割引切符、鉄道職員のための新福利制度が含まれ、この他、同相の出身地西ベンガル州に対する特別措置として、客車製造工場の建設、長距離特急列車の運行、学生を対象にしたコルカタ地下鉄の優待運賃も提案されている。
ヒンドゥー・ビジネス・ライン、エコノミック・タイムズ、ザ・ヒンドゥー、インディアン・エクスプレスが7月4日報じたところによると、2009-10年の投資支出は4万475クロー(US$86.13億)で、内60%以上が予算と借入で賄われる。投資予算の30%以上が車輌の購入に当てられる。貨車の購入台数は前年の1万1000輌から1万8000輌に増やされる。駅舎を含む乗客用施設の維持改善に1102クロー(US$2.35億)が支出される。
12の特急長距離列車計画の内、9本はニューデリーと他の都市を結ぶものだが、4本は西ベンガル州におけるもの。これに対してムンバイは2本、チェンナイは1本に過ぎない。この他、57本の新列車を運行し、27列車のサービス距離を延長、13列車の運行頻度を増やす。
50の駅舎をショッピング・コンプレックス/ホテル/駐車場等を備えた国際水準の施設に改装し、別に375の駅舎をアダルス(Adarsh:Indian/理想的)水準にアップグレードする。
鉄道会社の140万職員の福利向上計画の一環として、公共民間協力(PPP:public-private partnership)コンセプトに基づき看護士養成カレッジ7校、医科短大18校を創設する。
Banerjee鉄道相はさらに、ムンバイ/デリー産業大動脈(Mumbai-Delhi industrial corridor)計画に倣って、東西南北の各主要都市をリンクするダイアモンド貨物鉄道回廊(diamond rail freight corridor)の開発を提案した。
鉄道路線に沿って光ファイバー・ケーブル網を設けるため、新委員会を設け、事業化調査を進める。
通勤者向けの割り増し料金直前予約制度『tatkal』も合理化される。短期予約切符サービス(short-notice ticketing service)の本来の意味に従い、tatkal予約期間は5日間から2日間に短縮され、最低料金が150ルピーから100ルピーに引き下げられる他、例えば『Tamil Nadu Express』を用いてDelhiからBhopalに赴く場合、Delhi/Chennai間全行程の料金ではなく、Delhi/Bhopal間の料金のみが徴収される。同スキームの利用率は12.5%で、年間売上げはこれまで665クロー(US$1.415億)だったが、合理化で利用率の向上が見込まれるため、売上げの増加も予想されると言う。
問題は鉄道相のこうした夢を実現する財源が見あたらぬこと。インド鉄道(IR:Indian Railways)の運転コストの運輸収入に対する比率は、Banerjee女史がVajpayee前政権の鉄道相を務めていた当時は98%近くだった。つまり1ドルの収入に対する粗利益は僅か2セントに過ぎなかった。Lalu Prasad前鉄道相時代に同比率は76%にまで下降したが、2009-10年度は再度92.5%に上昇する見通しだ。
地元紙は、透明で誠意に満ちた予算、大衆指向型予算等、肯定的な論評を加えているものがある反面、人気取りの大盤振る舞い予算、サンクスギビング予算等、厳しいコメントも少なくない。インド産業連盟(CII:Confederation of Indian Industry)は「各方面に恩恵をもたらす大衆指向、産業指向、経済指向の予算案」と高く評価しており、インド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)も「進歩と遠望を備えた予算案」と歓迎している。