【ニューデリー】インド中央政府は主要鉱物に課すロイヤルティーを、これまでの固定料率から従価方式に改める計画だ。BK Handique鉱業相は22日記者会見し、「新ロイヤルティー制度は近く閣議の承認が求められる」と語った。
インディアン・エクスプレス、エコノミック・タイムズ、ビジネス・スタンダードが6月23/24日伝えたところによると、今月初に催された次官級会議では、昨年作成された新ロイヤルティー制度案が、ほとんど修正を加えずに承認された。新方式の下、州政府のロイヤルティー収入が2倍に拡大する反面、鉱物輸出業者は、市場価格に基づいてロイヤルティーを支払わねばならず、インド産鉄鉱石の輸出競争力を弱め、鉄鋼業界のコストを高めるものと見られる。
鉄鉱石に関しては、これまで各種グレードによりトン当たり13~27ルピーのロイヤルティーが課されていたが、新制度の下では、全てのグレードの鉄鉱石に一律10%の従価ロイヤルティーが課される。州政府の鉄鉱石ロイヤルティー収入はこれまでの年間250クロー(US$5320万)から1500クロー(US$3.19億)以上に拡大する。
鉄鉱石の他、石灰岩、亜鉛鉱、ボーキサイト、マンガン鉱、ダイアモンド、ウラニウムのロイヤルティーも変更されるため、州政府の非石炭鉱物ロイヤルティー収入は2006-07年の2014クロー(US$4.286億)から2倍に拡大する見通しだ。
ロイヤルティー・レートは2004年に変更されたままで、2007年以来見直し時期を迎えていた。このためインドの主要鉱物資源生産地、オリッサ州/チャッティースガル州/ジャールカンド州/マドヤプラデシュ州は、過去2年にわたり中央政府にロイヤルティー・レートの見直しを求めて来た。鉱業省の統計によれば、インド国内で2008-09年度に生産された鉱物の総額は11万4000クロー(US$242.59億)と見積もられる。
民間鉄鋼メーカー筋は、「ロイヤルティー支払いの増加は、マージンを縮小させ、拡張計画にも当然影響を及ぼす」と語った。コンサルタント会社Ernst & Youngのパートナー、Kewal Doshi氏によると、新ロイヤルティー制度は鉱山会社と金属メーカーにマイナスの影響を与える。マージンの下降は、今日の低い材料コストにより相殺されるが、需要がまだ回復しないことから、中期的に打撃を受ける見通しと言う。
インド鉱業連盟(FIMI:Federation of Indian Mineral Industries)のR K Sharma事務局長は、「インド政府は全てのタイプの鉄鉱石に15%の輸出税を課すことを検討しており、これに10%の従価ロイヤルティーが加わるなら、中国市場でインド産鉄鉱石は最早競争力を持ち得なくなる」と懸念を表明した。