SEAnews 2009-06-19 ArtNo.42343

【ニューデリー】ボンベイ高裁は、このほどAmbani兄弟の兄が経営するReliance Industries Ltd.(RIL)に対し、弟が経営するReliance Natural Resources Limited(RNRL)に東海岸沖合Krishna Godavari(KG)海盆KG-D6鉱区で採取した天然ガスを1mmbtu(million metric British thermal unit)当たり2.34米ドルで供給するよう命じる判決を下したが、石油天然ガス省は、その翌日、RILに1mmbtu当たり4.20米ドルでEssarやIspat等の鉄鋼会社にKG-D6ガスを販売するとともに、電力会社9社に対する割当量も拡大するよう指示した。これは多くの肥料会社が割り当て量を消化できず、ガス田がキャパシティーを大幅に下回る稼働を強いられているため。
ビジネス・スタンダード、インディアン・エクスプレス、ザ・ヒンドゥーが6月17日伝えたところによると、1mmbtu当たり4.20米ドルと言う価格は、特別閣僚グループ(eGoM:empowered group of ministers)が今年4月に設定したもので、2007年ガス割り当て政策に基づくもの。
高裁は15日、RILに対しKG-D6で採取したガス28mmscmdを向こう17年間にわたり、1mmbtu当たり2.34米ドルでRNRLに供給するよう命じた。RILは恐らく最高裁に上訴するものと見られる。
高裁が命じた価格は、eGoMが設定した価格を約44％下回り、RILのNational Thermal Power Corporation (NTPC)に対するKG-D6ガス供給交渉にも影響を及ぼす可能性がある。NTPCは1mmbtu当たり2.97米ドルでの購入を目指すとともに、RILが一方的にガス売買契約(GSPA:gas sale & purchase agreement)の条件を変更したのは不当として訴訟を起こしている。
これに対して政府はNTPCに早期にRILとGSPAを締結するよう要求、従わないなら同社に対する2.8mmscmdの割り当てを取り消す可能性もあると警告している。
一方、RILは政府の指示に従いEssar、Ispat、Vikram Ispat等の鉄鋼メーカーに3.75mmscmdを供給することになる。この内、Essarには2.86mmcmd、Ispatには0.53mmscmd、Vikram Ispatには0.36mmscmdをそれぞれ供給する。これらの鉄鋼メーカーは目下、高価なLNGやナフサを購入して需要に応じているため、RILから供給を受けることにより大きな恩恵を受ける。
RILは目下、K-G D6ガスを28mmscmdほど生産しており、7月末までに40mmscmd、今年末までに80mmscmdに、拡大することを目指している。
一方、ビジネス・スタンダードが18日報じたところによると、石油天然ガス省は、①Reliance Infrastructure／②Gautami Power／③GVK Industries／④Lanco Kondapalli Power／⑤Torrent Power／⑥Gujarat Paguthan Energy／⑦Vemagiri Power／⑧Maharashtra State Power Generation Companyを含む電力会社9社に対する割当量を拡大するよう求めた。
RILは今年4月これら9社が経営する発電所11カ所に合計11mmscmdのK-G D6ガスを供給するGSPAを結んでいる。