SEAnews 2009-06-05 ArtNo.42303

【ニューデリー】統一進歩連合(UPA)政権は向こう5年間に15万5000クロー(US$329.84億)の繊維産業投資を誘致し、繊維産業関連の新規就業機会1000万件の創出を目指している。新任のDayanidhi Maran繊維産業相は1日、以上の消息を語った。
インディアン・エクスプレスとビジネス・スタンダードが6月2日、就任後の記者会見におけるMaran繊維産業相の発言を引用し伝えたところによると、年商520億米ドルの繊維産業の年率8～10％の成長を実現することが目標とされる。目下の成長率は6％前後で、昨年の繊維産業投資は3万クロー(US$63.84億)、2008年3月までの4年間の累積投資額は10万4506クロー(US$222.39億)をマークした。こうした投資の大部分は、技術向上基金計画(TUFS:Technology Upgradation Fund Scheme)下の金利補助付きローンを利用したもので占められている。政府は同業界への外資導入を優先課題と見なしている。ちなみに繊維産業には外資の上限が設けられていない。
農業に次ぐ就業者を有するインド繊維産業は、輸出の急減で苦境に立たされている。米国と欧州市場には景気復調の兆しも見られるため、現在の220億米ドルの輸出水準維持に努める。
また輸出が縮小する中で、国内消費を拡大することが重要になっている。繊維産業の520億米ドルの年商の内、国内販売が310億米ドルを占めている。政府は輸入品との競争に勝てるよう国内繊維産業の基盤強化を図る。繊維産業省は既にこの方面の努力を重ねて来たが、今後一層拍車をかけると言う。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが6月2日報じたところによると、Nike India, Sri Lanka and PakistanのAtul Ujagar取締役は、カルナタカ州Bangaloreで6月5－7日に催される第6回『繊維・服飾品貿易展(Fabrics and Accessories Trade Show)』に関する記者会見の席上、「インド繊維産業は、バングラデシュ／中国／ベトナムとの競争にさらされており、適切な対策を講じないなら輸出の一層の落ち込みは避けられない」と警鐘した。それによると、2007－08年の繊維輸出は220億米ドルを記録、内、既成衣料品が約95億米ドルを占めた。
これに対して中国はアパレル輸出だけで1200億米ドルに達し、バングラデシュの2007年7月－2008年6月のアパレル輸出は107億米ドル、ベトナムのアパレル輸出も年間90億5000万米ドルにのぼる。ベトナムの今年のアパレル輸出目標は115億米ドルに設定されている。
インドの2008年4－12月の繊維・衣料品輸出は152億7000万米ドルと、前年同期の152億5000万米ドルに比べ僅か0.12％の成長にとどまった。カレンダー・イヤー2008年の米国の繊維・衣料品輸入は3.34％ダウン、内インドからの輸入は0.55％の落ち込みを見た。しかし、バングラデシュ／中国／ベトナムはこうした厳しい環境の下でも対米繊維輸出を拡大している。こうしたことからインド繊維産業は、効率の向上、規模の経済性実現、労働制度の改革、税制改革を通じ、基礎体力を強化する必要があると言う。