2009-05-19 ArtNo.42243
◆今年4月の植物油輸入倍増
【チェンナイ】今年4月の植物油輸入は69万9000トンと、昨年同月の34万7000トンに比べ2倍以上に増えた。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインとビジネス・スタンダードが5月14日、インド溶媒抽出産業協会(SEAI:Solvent Extractors Association of India)の発表を引用し報じたところによると、この内食用油の輸入は前年同月の30万9000トンから65万9000トンに拡大した。これにより11月にスタートする2008-09オイル年(oil year)の当初6ヶ月の植物油輸入量は429万2000トンと、前年同期261万2000トンに比べ64%増加した。SEAIは今年通年の予想輸入量を当初の750万トンから800万トンに50万トン上方修正した。
SEAIは輸入急増の原因として、2008-09年度(2008年10月-2009年9月)の脂肪種子の国内生産が予想外に低かったことと、低価格に伴う内需の拡大を挙げている。食用油の国際価格は昨年11-12月に底入れしたものの、今年5月の価格は依然として2008年5月の水準を下回っている。このためSEAIは、総選挙後に発足する新政府が輸入関税を引き上げる可能性を予想している。
SEAIのB.V. Mehta常務理事(ED)によると、インドの一世帯当たり年間食用油消費量は当初見積もりの11キロから12キロ以上に増加したものと見られる。食用油価格は昨年同期に比べ下降している。これは主に国際価格の下降と植物油の輸入関税がゼロに引き下げられたため。輸入の増加に関わらず、港湾における在庫は予想を下回っており、こうした状況は少なくとも向こう1ヶ月続きそうだ。
RBD(refined, bleached and deodorised)パームオレインの4月の輸入は10万3000トンと、昨年同月比10倍の伸びを見た。この他の輸入傾向としては、大豆油/ヒマワリ油等のソフト・オイルの比率増加が挙げられる。今年に入って以来これまでの植物油輸入全体に占めるソフト・オイルの比率は昨年 ッ期の10%から18%に拡大、残りをパーム油系が占めている。例えば、ヒマワリ油の同期の輸入量は6万6000トン、大豆油は2万6000トンだが、昨年同期には、これら2品目は全く輸入されていない。
農業省は5月12日、脂肪種子の今年の国内生産予想を上方修正したが、業界は懐疑的に受け止めている。同省は当初今年の国内生産量を2596万トンと予想していたが、その後2812万トンに引き上げ、今回さらに2976万トンに5.5%上方修正した。業界観測筋は、「輸入の急増から見て、国内生産はそれほど増加していない。農業省は最終的に生産量を下方修正せざるを得ない」と見ている。それによると、生産が拡大しているとすれば、搾油や精製に回される供給が拡大し、輸出も増加して当然だが、そうした兆候は見られないと言う。
パーム油価格は2008年11月以来トン当たり250米ドル上昇したが、輸入関税がゼロのため、輸入の魅力は依然大きく、向こう6ヶ月間も月間平均50万トンが輸入されるものと見られる。ソフト・オイルも月間10万~12万5000トンが輸入される見通しと言う。
精製済み植物油の輸入全体に占める比率が急速に高まっている。これに対して脂肪種子は収穫も高めのため、輸入が拡大する可能性は少ない。こうしたことから輸入関税をゼロにとどめる理由は最早存在しないと言う。
年初6ヶ月の精製食用油の輸入は前年同期の9万2967トン(輸入全体の4%)から61万4000トン(同15%)に、食用原油の輸入は前年同期の21万5000トン(同96%)から347万トン(同85%)に、それぞれ増加した。
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