【ムンバイ】インドの昨年(2008-09)の繊維輸出は、前年(2007-08)の3万8000クロー(US$76億)を15％以上下回り、今年度についても改善する兆しは見られない。
インディアン・エクスプレスが5月5日報じたところによると、インドの繊維業界は昨年、現金流動性の逼迫に加え、高い資金コストや、世界的な景気後退に直面、最大市場の米国と欧州連合(EU)だけでなく、中東を含む他の主要市場向け輸出も軒並み下降した。米国とEU向けだけでインド繊維輸出全体の60％以上を占めている。
インド既製服輸出業者連盟(CIAE:Confederation of Indian Apparel Exporters)のAmit Goyal会頭によると、輸出ボリュームそのものの落ち込みが予想されることから、次期四半期には繊維輸出業者の利益が大幅に縮小する見通しだ。短期的中期的見通しは暗い。しかし輸出業者が新規注文を手にする8月以降の状況を見る必要がある。ルピーの対米ドル相場軟化の恩恵も、今年8月以降の受注に初めて反映される。
輸出業者のマージンは通常8～10％だが、中国やバングラデシュ等近隣諸国との競争が激化することから、マージンの大幅な縮小が予想される。繊維業界は、輸出が悪化する中で深刻な打撃を受けている。繊維輸出業者は2008－09年第3四半期に400クロー(US$8000万)の損失を被たが、過去3ヶ月間に対米輸出はさらに9％下降した。
業界観測筋によると、連続4年間におよぶ好調な成長を実現した後、2008年10月からマイナス成長に陥ったインドの繊維輸出は、世界的な景気後退から、今会計年度の残りの期間もマイナス成長が持続する見通しと言う。