【ニューデリー】金融危機の試練を経たインド鉄鋼産業は、需要見通しも良好なことから他国に先駆け間もなく新規投資プロジェクトを再開するものと見られる。
ザ・ヒンドゥーが4月16日伝えたところによると、鉄鋼省とインド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)が15日共催した『インド鉄鋼産業の展望(Indian steel industry: The way forward)』と題するセミナーの席上、鉄鋼省のP. K. Rastogi次官は以上の見通しを語った。同氏によると、鉄鋼の生産と消費に関する第4四半期の統計数字は、インド鉄鋼産業の回復力をハッキリ示している。Rastogi次官はまた、インド鉄鋼産業の復調を支えるマクロ経済要因として以下の4点を掲げている。
第1にインドの国内総生産(GDP)は2008-09年に5~7%の成長を遂げたものと見られ、今会計年度は一層高い成長が期待できる。
第2にインドの資本形成(capital formation)と貯蓄率は30%以上の水準に保たれており、GDPの成長に伴い鉄鋼需要のより高い復調が望める。
第3に第11次五カ年計画において重点的に進められるインフラ開発事業も鉄鋼需要を拡大させる。
第4に低いインフレ率はアグレッシブな価格戦略を採用する余地を拡大、投資と消費に一層の弾みがつくと言う。
しかしFICCIのHarsh Pati Singhania会頭は席上、『バイ・アメリカ』条項を掲げる米国鉄鋼産業に見られるような保護主義が世界的に台頭する可能性を指摘、FICCI鉄鋼委員会の議長も務める国営Steel Authority of India Ltd(SAIL)のS. K. Roongta会長は、過度な多幸症に警鐘を鳴らした。Roongta氏によると、鉄鋼メーカーは、需要創出、ベストプラクティス、技術開発、環境保護、選鉱等の領域で共同歩調をとる必要があると言う。国営National Mineral Development Corporation (NMDC)のRana Som会長兼MDは、国内産業の保護にも配慮し、国内需要に応じる必要があると指摘した。