2009-03-30 ArtNo.42085
◆瀋陽市、ケララ州と提携し内外のIT市場開拓目指す
【ティルバナンタプラム】中国遼寧省の省都瀋陽市は、インド、取り分けハブ&スポーク・コンセプトに基づく情報技術(IT)産業の育成を図るケララ州と、瀋陽市の70億米ドルのIT産業をリンクし、協力して内外の市場を開拓することを計画している。
インディアン・エクスプレスが3月27日伝えたところによると、ケララ州ThiruvananthapuramのTechnoparkで先週末催された地元IT業界幹部と瀋陽市IT産業局(SIIB:Shenyang Information Industry Bureau)代表団との第1回会議の席上、中国共産党瀋陽市皇姑区委員会書記も務めるLiu Huiming氏は以上の抱負を語った。それによると代表団は、瀋陽企業とインド企業、取り分けケララ州企業との提携を促進することを目指している。SIIBはIT人材面のサポートを手がける専門部署を設け、潜在的ビジネス・パートナーとの連絡や査証手続き等の処理も支援する。
瀋陽市がケララ州をパートナーに選んだ理由は、左派政権に率いられるケララ州の政治環境に親近感を覚えたことの他、同州が人材開発面で優れた実績を有することに注目したため。
遼寧省の省内総生産(GDP)は580億米ドルで、内70億米ドルをIT産業が占めている。内訳はIT製品の製造が40億米ドル、ソフトウェアが30億米ドルとなっている。
代表団の通訳を務めるSurinder Kumar氏によると、中国政府はこれまでのところBPO(business processing operations)ビジネスに限り免税優遇措置を適応しているが、目下準備中の新政策の下、アニメーションにも税制優遇が適応される見通しだ。
SIIBの楊洪峰局長によると、同局は低コストな通訳サービスも提供しているため、中小企業も言語面の障害を乗り越えることができる。
インドとの協力に際しては、以下の5領域に照準が合わされる。①日本/韓国/中国本土向けBPOサービス、②瀋陽企業、取り分け組み込みソフト・アウトソーシング・サービスを手がける企業に対する日本/韓国/米国/欧州市場向けソフトウェア輸出サービスおよびアフトソーシング・サービス、③ソフトウェア・アウトソーシング関連の訓練機関、④アニメーション・アウトソーシング・ビジネスを計画する企業、⑤上記に関連する領域の企業。
一方、インド側のソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)は、これに対して訓練された労働力やインフラを、近隣のタミールナド州やアンドラプラデシュ州から提供する。
ケララ州政府IT部のAjay Kumar次長によると、ハブ&スポーク・モデルを採用したケララ州のIT産業の輸出成長率は70%に達している。同省は全国に先駆けてITパークを設けたものの、ブームに乗り遅れ、IT産業の規模を十分拡大できなかった。しかしNasscomは最近、非一級(non-Tier-1)IT投資地のトップにケララ州を掲げた。ケララ州は毎年2万5000人のエンジニアと20万人の学士を輩出しており、豊富な人材資源が投資地としての主要な魅力とされている。
TechnoparkおよびInfoparkのSiddhardh Bhattacharya重役(CEO)によると、ケララ州の営業コストは他州を35%下回る。
またNasscomチェンナイ事務所のPurushottaman所長は、「インドは毎年46万4000人の学士を送り出しており、人材不足の恐れはない。それぞれの企業のニーズに応じた個別の訓練さえ施せば即戦力になる人材が豊富に存在する」と指摘した。
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