【ニューデリー】今年3月14日までの1週間のインフレ率は連続8週間下降し、新たな歴史的低水準0.27%を記録、昨年同期の8.02%は言うまでもなく、前週の0.44%から一層の鈍化を見た。とは言え、必需食品の価格は引き続き高水準を維持している。
インディアン・エクスプレス、ヒンドゥー・ビジネス・ライン、デカン・ヘラルド、ザ・ヒンドゥー、ビジネス・スタンダードが3月26/27日報じたところによると、卸売物価指数(WPI:wholesale price index)をベースにしたインフレ率は限りなくゼロに接近、マイナス領域に突入する勢いを見せている。
グループ別インフレ率を見ると、一次産品グループ3.94%(4.38%)、製造業製品グループ1.17%(-0.75%)、燃料グループ-6.06%と、燃料グループの大幅な値下がりが、インフレの鎮静を加速した(括弧内は前週の値上がり幅)。とは言え、一次産品グループ中の食品価格は前週に比べ0.1%、昨年同期に比べ7.10%、それぞれ上昇、製造品目グループ中の食品価格も前週に比べ1.2%、昨年同期に比べ6.63%、それぞれアップした。庶民がは依然としてインフレの脅威に晒されていることが窺える。
なお1月17日までの1週間のインフレ率はこれ以前に発表された5.64%から4.95%に下方修正された。
大蔵省経済部(DEA:Department of Economic Affairs)のAshok Chawla次官は、「昨年同期のインフレ率が高水準だったことが、インフレ鈍化の主因」とし、「予想外のことではなく、既に織り込み済み」と指摘した。これにより中央銀行Reserve Bank of India(RBI)が景気浮揚のための一層の金融措置を講じやすくなった。信用格付け会社Rating Information Services of India Ltd(CRISIL)のDharmakirti Joshi主任エコノミストは、「中央銀行は1ヶ月以内に主要金利を50ベイシス・ポイント引き下げるだろう。既に市場には十分な流動性が存在するが、RBIは金融政策面でより積極的姿勢を見せている」と語った。
しかしBank of BarodaのRupa Rege Nitsure主任エコノミストは、「消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)をベースにしたインフレ率は依然二桁の水準にあり、『インフレの懸念がなくなった』と考えるなら、それは誤り」と指摘した。それによると、例えば2009年2月の農民および農村労働者(agricultural workers and rural labourers)を対象にしたCPI上昇率は昨年同期の6.2%から10.79%にかえって加速している。
計画委員会(Planning Commission)のMontek Singh Ahluwalia副委員長によると、インドは決してデフレに向かっている訳ではない。インフレ率は1、2週間内にゼロもしくはマイナスになる可能性があるものの、そうした状態が長期化すること、つまりデフレに陥ることはない。マイナスのインフレ率は決して異常ではなく、インドは1970年代に経験したことがあると言う。
Manmohan Singh首相も、「インド経済がデフレに陥る恐れはない」とするとともに、2008-09年の国内総生産(GDP)が6.5%~7%の成長を遂げるとの見通しを改めて示した。