【ニューデリー】インドの輸出業者の多くはルピー軟化の恩恵に浴しておらず、為替相場の変動をヘッジするため結んだ通貨先物契約が3月31日に満期を迎える際には、かえって損失を被るものが続出する見通しだ。
エコノミック・タイムズが3月22日報じたところによると、ルピーの対米ドル相場は過去6ヶ月間に30%以上下降、今年に入ってからだけでも5%以上軟化した。
インド輸出組織連盟(FIEO:Federation of Indian Export Organisations)のAjay Sahai理事長によると、中小企業を除く輸出業者の60~70%は為替リスクをヘッジしている。彼らはルピー相場軟化の恩恵を享受するチャンスを逃した。2009年1月と2月の輸出が15.9%と13%、それぞれ下降したことからもそのことが窺える。一般に輸出業者は輸出総額の30~40%をヘッジしている。バイ п[が輸出業者に為替利益を還元するよう圧力をかけていることから、事態は一層輸出業者に不利になっている。
一部の輸出業者は昨年ルピー相場が上昇した際、通貨ヘッジをユーロとポンドにシフトした。現在こうした通貨は値上がりしており、このことも状況を悪化させている。大部分の輸出業者は昨年下半期にこうしたヘッジを行い、その後のルピー相場の変動で打撃を被っている。
Geojit Financial ServicesのC J George重役(MD)によると、同社は、3ヶ月乃至6ヶ月前にルピーの値上がりを予想してヘッジを行った複数の輸出業者に奉仕しているが、これらの輸出業者の判断は裏目に出た。これらのものは次期会計年度に一層慎重な対応を強いられる見通しと言う。
世界貿易機関センター(WTO Centre)傘下インド外国貿易学院(IIFT:Indian Institute of Foreign Trade)のBiswajeet Dhar主任は「非常時には非常手段をとる必要がある」と指摘する。それによると、外国ファンド・マネージャーに任せず、自分自身で為替相場の変動を分析する必要がある。他の輸出相手国の通貨の対米ドル相場をチェックするのもその一つで、過去3ヶ月間に、インドネシア・ルピア、シンガポール・ドル、モーリシャス・ルピー、ニュージーランド・ドル、ロシア・ルーブルは、ルピー以上に米ドルに対して軟化、これらの国の商品は買い手にとって一層魅力的になっていると言う。
とは言えインドは、世界中が不況に直面する中で、成長を維持している数少ないスターであることに間違いない。ニューデリー拠点のシンクタンク『途上国のための研究情報システム(RIS:Research and Information System for Developing Countries)』のNagesh Kumar所長によれば、米国と欧州は重要な貿易相手とは言え、インドの貿易の51%は成長を遂げるアジア諸国とのもので、バランスがとれている。このため状況は他国に比べ依然良好と言う。