1995-12-05 ArtNo.4181
◆<星>1年内にネットワーク・コンピュータがお目見え
【シンガポール】パーソナル・コンピュータ(PC)の宿敵になる可能性も予想されるネットワーク・コンピューター(NC)がシンガポールに1年以内に登場するとの点で業界の見方はほぼ一致しているが、その影響に関する見通しは区々のようだ。
オラクルのラリー・エリソン会長によりその概念が紹介されたNCは今のところ実物は存在しないが、予想市販価格は300~1000米ドルと2000~5000米ドルのPCに比較してかなり安い。NCはPCに比べメモリやハードウェアーのキャパシティーが小さく、CD-ROMを操作することもできないが、インターネットを通じたソフトウェアー・アプリケーションのダウン・ロード、ビデオ・オン・デマンドの視聴、ビデオコンファレンス等が可能だ。既にサンはウィンドウズ等のオペレーティング・システムから独立して、各種アプリケーション・ソフトをダウンロードできるJavaを開発しており、もしNCがインターネットを通じて全てのコンピューター機能を有効に果たすことができるなら、CDやハード・ディスクに組み込まれたマイクロソフト・ソフトウェアーなどは不要になるかも知れない。
サン・マイクロシステムの当地幹部はこうした見方に同意、マイクロソフトが最大の打撃を受けるものと予想する。オラクルの東南アジア市場主任は同社がNCを武器にホームマーケット市場の開拓を目指していることを認めるとともに、PCは引き続き研究室やオフィス市場で支配的地位を維持するだろうと語った。IBMのアジア太平洋地域プロダクツ・マネージャーは500米ドル台のこの種の装置は確かにインターネト市場でヒットを飛ばすだろうが、限界が有り、今後はテレビと一体化したPC/TVがホームマーケットを支配するだろうと予測する。一方、シンガポール国立大学のインターネット・リサーチャーは自動車市場におけるデラックス・カーとエコノミー・カーのように、PCとNCが共存する可能性を予想する一方、「FAXやEメールを処理できるより安価な装置が既に市販されており、またNCがその機能を十分発揮するには良好な通信インフラが備わっていなければならない」と指摘した。(BT:12/4)
|