2008-12-05 ArtNo.41733
◆BJP、同時テロ事件処理でUPA政権に条件付き支持提案
【ニューデリー】インド人民党(BJP)は4日、パキスタン領内のテロ組織を撲滅するため統一進歩連合(UPA:United Progressive Alliance)政府がパキスタンに対して断固たる態度を示すなら、全面的に支持するとの提案を行った。
ビジネス・スタンダードが12月5日報じたところによると、中央政府の政権与党として2001年にパラクラム作戦(Operation Parakram)を発動しパキスタン国境に軍を展開、1999年のカルギル紛争(Kargil war)や2002年の衝突事件も処理した経験を有するBJPは、この日10箇条のアジェンダを掲げ、UPA政権が同ステップを履行するなら、全面的に協力する意向を表明した。一方、P Chidambaram内相はこの日、国会下院野党リーダーも務めるBJPの首相候補LK Advani氏と、国内の治安問題を協議した。
BJPは、この日催された中核委員会(core committee)の会議でムンバイ同時テロ事件の事後処理問題を協議した後、以上の決議を発表した。それによると、10箇条の決議には、①パキスタンとの『和平プロセス(peace process)』の即時停止、②厳格な反テロリズム法の制定、③反テロリズム法の全州における施行、④州議会により可決された反テロリズム法の効力停止、⑤中央政府情報機構の再構築が含まれる。
またManmohan Singh首相は『連邦調査局(FIA:Federal Investigation Agency)』の創設を提案したが、⑥総合的な『連邦保安法(Federal Security Law)』を制定することも提案されている。BJP幹部Arun Shourie氏は「我々はFIAの創設を歓迎するが、連邦保安法がないなら、牙のない張り子の虎に等しい」と指摘した。
国会上院の野党リーダーを務めるJaswant Singh氏は、「2008年だけで全国の18都市で48件のテロ事件が発生しており、その他の暴力事件を含めると犠牲となった死者の数は2300人にのぼる。UPA政権は聖戦略奪者(jihadi predators)の攻撃阻止については完全に失敗した。またこれらの全ての攻撃はパキスタン当局の支持がなければ遂行することはできない」と指摘した。
BJPの決議文は、「意見の一致は事後承認ではあり得ず、事前協議を必要とする」、「事実情報は完全にシェアされねばならない」と付言している。
さてムンバイで発生した同時テロ事件から1週間以上を経た今も、世界のメディアは、パキスタンに拠点を置くイスラム過激派組織ラシュカレトイバ(Lashkar-e-Toiba)のメンバーとされる生け捕られた同時テロ事件実行犯の正体に依然として懐疑を抱いている。ザ・ヒンドゥーが6日伝えたところによると、事件後各紙はこの男の氏名をMuhammad Amin Kasab、Azam Amir Kasav、Azam Amir Kasab等と報じた。このためテロ事件そのものが当局が創作したフィクションとの見方まで生じたが、こうした混乱は取り調べに当たった警官が犯人のパンジャブ語による供述を理解できず、出身カーストを氏名と間違って記録したのが原因のようだ。
彼の正しい氏名は、Mohammad Ajmal Amirで、パキスタン領パンジャブ州Okara県Dipalpur郡Faridkot村の住人Mohammad Amir Imanの息子。したがってImanが彼の姓ということになる。
最初に彼を尋問したムンバイ警察の取調官は、先ず犯人の氏名、住所、家族、出身カースト等を質した。イマンは銃創の苦痛に呻きながらもこれらの質問に正確に答えたが、この取調官の母語はマラーティー語だったため、南部パンジャブ方言を理解できなかった。イマンは自分の出身カーストはKasai(屠殺人)と述べたが、取調官はこれを姓と取り違えKasavあるいはKasabと記録した。これまでも出身カーストが犯罪者の姓として報じられた例は少なくない。取り調べに立ち会った別の警察官によると、イマンの供述は半分も理解できなかったと言う。同供述書の内容の曖昧さに気付いたヒンドゥー語を常用する上級オフィサーがKasavはKamaalの誤りと考えたため、一層混乱が生じた。ネイティブのヒンドゥー及びパンジャブ・スピーカーが、イマンの尋問を引き継いだ段階で、こうした誤りはやっと正された。しかし一部のメディアは依然として誤った氏名を用いて報道を行っていると言う。
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