【ニューデリー】インドと日本の包括的経済提携協定(CEPA:Comprehensive Economic Partnership Agreement)交渉は、日本側が5銀行に『認定完全資格銀行(QFB:Qualifying Full Bank)』ステータスを片務的に認めるようインドに要求する一方、インド側から求められた製薬市場の開放には応じる姿勢を示さぬことから、暗礁に乗り上げている。
エコノミック・タイムズが11月10日伝えたところによると、商工省幹部は同紙に以上の消息を語った。それによると、日本側は先月東京で行われた会議の席上、QFBステータス問題を持ち出したが、インドの銀行に日本国内でQFBステータスを認める考えは示さなかった。インド銀行は日本の基準を満たしていないと言うのがその理由。銀行はインドにとって敏感な領域で、取り分け相応の代償が示されない限り、一方的にQFBステータスを認めることはできない。
その実同様の問題はシンガポールとの間でも発生した。インドとシンガポールはそれぞれ相手国の銀行3行にQFBステータスを認めたが、実行段階でシンガポールはインド側銀行にシンガポールの会計基準を満たすよう要求、結局State Bank of IndiaとDBS Bank各1行のQFBステータスを相互に認めた経緯がある。何れにしてもインド側だけが、日本の銀行にQFBを認めることはできない。
日本製薬市場の開放問題はもう1つの大きなハードルで、インドは日本に対して米国食品薬品局(FDA:Food and Drug Administration)の基準をベースに相互承認協定(MRA: Mutual Recognition Agreement)を結ぶよう提案している。同領域に関して、これまでのところ日本は全く柔軟性を欠いている。両国代表は来月デリーで再びこれらの問題を協議する方針という。