【ニューデリー】インドの情報技術(IT)企業は今こそ1080億米ドルの日本ITサービス市場に照準をあわせるべきである。同市場におけるインド企業のシェアは10億~15億米ドルに過ぎず、ライバルの中国に大きく水をあけられている。
ヒンドゥー・ビジネス・ライン、デカン・ヘラルド、ビジネス・スタンダードが10月21日報じたところによると、ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)とPricewaterhouseCoopersは20日、『インドIT産業の機会(Opportunities for the Indian IT industry)』と題する報告書を発表、最大市場の米国で景気後退と逆風に遭遇しているインドIT業界 ノ日本市場の開拓を呼びかけた。
NasscomのSom Mittal会頭によると、日本市場の複合年間成長率(CAGR)は3~4%で、取り分け組み込みシステム開発/工学/研究開発関連サービス領域がインドIT企業にとって最も有望な市場と言える。アプリケーション開発と保守サービス領域にも大きな機会が存在する。
目下のところ、アウトソーシングされているのは、ITサービス全体の10%に満たず、その総額は86億米ドルと見積もられる。中国が同パイの50%以上を占め、インドのシェアは13%に過ぎない。この他、フィリピンとベトナムがローコスト・オフショアリングの拠点と見なされている。インドIT企業は、中国の同業者とは対照的にハイエンド・サービス・プロバイダーとしての地歩を固めることができる。
米国における金融波乱は今後さらに3~4四半期持続するものと見られる。インドIT企業は、米国の救済パッケージが実行され、波乱が収束するのを待つ他ない。消費者情緒がどのように変化するかは知るよしもない。
インドIT産業はこれ以前に21~24%の成長目標を掲げ、目標の上限に近い成長を実現できると見ていたが、現状からすれば、目標の下限に近いものになりそうだ。Nasscomは12月に今会計年度(FY09)の輸出成長見通しに見直しを加える方針と言う。