【ムンバイ】インドの主要鉄鋼メーカーは、需要軟化と国際価格の下降で一部工場の操業が不採算になったこと等から、生産削減を検討しているようだ。
エコノミック・タイムズが10月2日報じたところによると、生産合理化を図る背後には鉄鉱石、石炭、天然ガス等の原料コストの急騰と輸出価格の下降も影響している。国営Steel Authority of India Ltd(SAIL)の他、Tata Steel、JSW Steel、Essar Steel、Ispat Industries等の一次メーカーの多くは、表向きそうした動きを否定しているが、業界筋によると、既に一部の企業は10~20%生産を縮小しており、他の企業もこれに追随する姿勢を見せている。原料やその他のインプット成分の多くを外部に依存している鉄鋼メーカーがこうした動きの先頭に立っている。Essar Steelスポークスパースンは国際市場の動向は、国内鉄鋼メーカーにも影響を及ぼすだろうと指摘した。
多くの国際鉄鋼大手が生産削減を発表しており、世界最大の鉄鋼会社Arcelor-Mittalはウクライナとカザフスタンにおける生産を既に15~20%カット、需要が急減した欧州や米国でも生産を削減する計画を発表した。しかし同社は欧米における削減のレベルは未定としている。
消息筋によると、インドにおける生産削減は熱間圧延コイル(HRC)領域に見られ、この種の鋼材はより高付加価値の製品に加工される。インドにおけるHRCのトン当たり価格は9月に約3000ルピー引き下げられ、約3万7000ルピーになっている。これは国際価格の下降と時期を等しくしている。
一方、国内鉄鋼メーカーに鉄鉱石を供給している国営National Mineral Development Corp(NMDC)は、国際市場の動向に合わせ近く鉄鉱石価格を50~55%引き上げる見通しで、そうなれば鉄鋼メーカーは益々厳しい経営環境に直面する見通しだ。