【ムンバイ】経済問題閣僚委員会(CCEA:Cabinet Committee on Economic Affairs)は昨年、10%エタノール混合ガソリン計画を承認した。しかし政府は今年9月半ば以前に同計画を棚上げにする方針を決めたようだ。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインは9月24日、以上の政府方針には正当な理由がなく、農民を犠牲にするものだとすRajya Sabha国会議員の論評を掲載した。Sabha議員はマハラシュトラ州に本部を置く農民組織Shetkari Sanghatanaの創設者でもある。
Sabha氏によると、2008年10月には計画が実行に移されるか、政府により正式認可されるものと予想され、インド標準局(BIS:Bureau of Indian Standards)は10%エタノール混合ガソリンの技術的製法を示し、計画実行の障碍を取り除いた。しかし政府は今になってIndian Oil Corporation(IOC)等にマハラシュトラ州とウッタルプラデシュ州において10%エタノール混合ガソリンを用いたパイロット・プロジェクトを実行するよう指示した。政府は、インド車両検査協会(ARAI:Automotive Research Association of India)/インド石油研究所(IIP:Indian Institute of Petroleum)/自動車技術国際センター(ICAT:International Centre for Automotive Technology)にも同様のパイロット・プロジェクトを実施するよう求めた。
農民は2008年10月を待ち望んで来た。また数々のフォーラムが催され、中央政府のリーダーらにより10%のエタノール混合ガソリンを採用する方針は決定済みと何度も確認されていた。こうした約束が実行されない理由はどこにも見いだせない。ブラジル等では最大24%のエタノール混合ガソリンがエンジンや懸架装置に何ら改良を加えることなく自動車燃料として使用されている。インド国内でも、チャッティースガル州の首席大臣が100%のバイオ・ディーゼル油をTata Safariの燃料として用いていることは周知の事実となっている。
統一進歩連合(UPA:United Progressive Alliance)政府が2004年に発足して以来、多くの重要プロジェクトが、全国民主連盟(NDA:National Democratic Alliance)前政権により着手されたものと言う理由だけで、棚上げにされて来た。唯一の例外は米国との間で結ばれた民生用核協力協定だけである。
疑問点は、一体パイロット・プロジェクトをこの時期に実行することは必要か、あるいは正当か否かと言うこと。インド自動車製造業者協会(SIAM:Society of Automobile Manufacturers of India)が抵抗もしくは懸念を表明し、そのことが政府の方針に影響を及ぼしたのだろうか。
これ以前には、遺伝子工学認証委員会(Genetic Engineering Approval Committee)が遺伝子組み換え綿花(Bt cotton)の商業栽培を許可すべきか否かに関して方針を決めず、不必要な調査に7年を費やした前例がある。歴史はまた繰り返されたが、今回も犠牲になったのは農民と言う。