【ニューデリー】インドの繊維企業は技術向上基金(TUF:technology upgradation fund)計画の下、積極的に投資を行っており、一部の企業は低コスト国における工場や企業の買収を通じ海外製造拠点の拡張も図っている。しかしながら貿易割当制度以降(2005-2007)の米国及び欧州連合(EU)市場への輸出成長率に関しては、インドは、ベトナム、バングラデシュ、パキスタン等の比較的小規模な近隣諸国に後れを取っている。
エコノミック・タイムズが6月20日、インド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)の報告を引用し報じたところによると、インド製繊維や衣料品のEU市場における価格は割当制撤廃後上昇基調を辿っており(今四半期に限っては下降傾向が生じている)、その結果EUの繊維輸入に占めるインドのシェアは1995年当時の7.9%から2007年の7.5%に縮小した。
米国市場ではインド製繊維製品の平均価格は割当制撤廃後下降したが、依然として中国製品やパキスタン製品の価格を上回っている。米国の繊維輸入に占めるインドのシェアは1995年から2007年の間に1.6%ポイント拡大したにとどまった。これに対してベトナムの対米繊維輸出は1995年の1700万米ドルから2007年の43億5000万米ドルに拡大、シェアも0.04%から4.7%に拡大した。中国のシェアは11%から33.5%に拡大、対米繊維輸出国のトップに立った。インドは同期間を通じて対米繊維輸出第3位を占めたが、2007年の輸出に限っては32億米ドルにとどまり、4位に後退した。またインドの対米繊維輸出額は、中国の対米繊維輸出額の6分の1にとどまっている。パキスタンは2007年の対米繊維輸出第2位に浮上、バングラデシュでさえ、価格競争力を梃子にEU及び米国市場でインドを急追している。
インドの2007年のEU繊維市場シェアは7.5%で第3位につけている。インドの対EU繊維輸出成長率は割当制時代(1996-2004年)の平均4.4%から割当制撤廃後(2005-07年)の平均15.4%に加速したが、子細に見ると2005年の18.6%、2006年の14.9%、2007年の12.6%と鈍化傾向を見せている。インドの1996-2007年の間の対EU繊維輸出成長率は、EUの繊維輸入成長率を下回った。これに対して中国、バングラデシュ、ベトナ の対EU繊維輸出成長率は、EUの繊維輸入成長率を上回っている。