【ニューデリー】燃料と調理用ガス(LPG)の値上げが祟り、6月7日までの1週間の卸売物価指数(WPI)をベースにしたインフレ率は11.05%と、前週の9.75%、昨年同期の4.28%をかるく上回り、1995年5月6日に次ぐ13年来の最高をマークした。
ヒンドゥー・ビジネス・ライン、デカン・ヘラルド、ビジネス・スタンダード、エコノミック・タイムズ、ザ・ヒンドゥー、インディアン・エクスプレスが6月20/21日報じたところによると、中央政府が6月5日にガソリン価格を1リッター当たり5ルピー、ディーゼル油を同3ルピー、LPGを1ボンベ当たり50ルピー引き上げたのが災いし、インフレに拍車がかかった。加えて食品価格が上昇、耐久消費財や鋼材等、その他の製造業製品も値上がりした。6月7日までの1週間に、軽油(light diesel oil)は21%、LPGは20%、ナフサは17%、燃料油(furnace oil)は15%、ジェット燃料(aviation turbine fuel)は14%、ガソリンは11%、ディーゼル油(high speed diesel)は10%、瀝青は7%アップした。WPI非食品項目についても、ニガー種子(niger seed)13%、原綿(raw cotton)4%、カラシ種子4%、黄麻(raw jute)2%、ジングリー種子(ginglee seed)2%の値上がり等で、全体として1.4%上昇した。
一方、4月12日までの1週間のインフレ率はこれ以前に発表された7.33%から7.95%に上方修正された。
4月のインフラ中核産業成長率の失速が報じられる中で、大蔵省も中央銀行も益々困難な経済運営を強いられている。政府の以上の発表を受けて20日のボンベイ証券取引所(BSE)センシチブ指数(SENSEX)は300ポイント急降下した。
この日記者会見したP Chidambaram蔵相は、石油製品統制価格を引き上げたことが、インフレ高進の主因とするとともに、「ガソリン、ディーゼル油、LPGを値上げした際、我々は二桁インフレが生じる可能性を閣議に報告した。そのことが今起こっている。政府は困難な時期を迎えている。需要サイドと通貨供給面の対策を講じ、サプライ・サイドの改善も図る」と述べ、サプライ・サイドの価格抑制を一層強化することを示唆した。しかし政府と中央銀行が実行する具体的措置は明らかにしなかった。
インド産業連盟(CII:Confederation of Indian Industry)、インド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)、インド商工会議所協会(Assocham:Associated Chambers of Commerce and Industry of India)は、いずれも「インフレは政府の管理能力を超え、成長の主要な阻害要因になろうとしている」との談話を発表した。CIIによれば、とどまるところを知らない価格の上昇は世界的トレンドだが、政府が成長に影響を及ぼすことなく財政及び金融政策を講じる余地は失われつつあると言う。