【クタラム】国営石油天然ガス探査開発会社Oil and Natural Gas Corporation Limited (ONGC)は11日、タミールナド州Nagapattinam県Kuthalam地区Cauvery盆地に設けた国内初のヘリウム抽出工場の開所式を催した。
インディアン・エクスプレスとヒンドゥー・ビジネス・ラインが5月12日伝えたところによると、科学技術局(DST:Department of Science and Technology)及び原子力局(DAE:department of atomic energy)傘下のサハ核物理学研究所(SINP:Saha Institute of Nuclear Physics)と共同で進めるパイロット・プロジェクトに、ONGCは95%出資、実験が成功した際にはONGCが商業権を取得する。インドは、原子力事業、宇宙開発、医療機器領域で必要とされるヘリウムを主に米国から全量輸入している。
ONGCのR S Sharma会長兼MDによると、新工場はパイロット・プロジェクトのためのもので、商業生産は行われない。商業生産を可能にするにはヘリウムを豊富に含有した天然ガスの安定供給が確保されねばならない。ONGCはラジャスタン州やボンベイにも同様の施設を設けることを検討していると言う。
SINPのBikash Sinha所長によると、インドは目下年間18万立方メートルのヘリウムを輸入している。コストはおよそ20クロー(US$492万)に過ぎないが、ウラニウムやトリウムと同様に重要な戦略的ガスと言える。
インドは99%の純度のヘリウムを生産する技術をまだ保持していない。またインドで生産される天然ガスは6000万年未満の比較的若い地層から産出され、ほとんどヘリウムを含んでいない。Kuthalamの地層は白亜紀(6500万~1億4600万年前)に属し、この地で産する天然ガスには0.05%のヘリウムが含まれているものの、商業的採算ラインとされる0.3%にはほど遠いと言う。