【ニューデリー】爆発的経済成長に伴う人材需要の急増からインドの賃金上昇率は2008年も14.4%と、5年連続の二桁成長が予想される。
エコノミック・タイムズとデカン・ヘラルドが4月28日報じたところによると、国際経営コンサルタント会社HayGroupは、その最新レポートの中で以上のように見通している。2007年のスーパーバイザー、上級管理職を含む基本給の平均昇給率は14%で、中間管理職(middle management)の昇給率が最高の16%、事務員の昇給率が最低の12%を記録した。インドの賃金上昇率は中国の8.6%(2007年)を上回り、高いインフレ率に悩むスリランカに次いでいる。
サービス産業等の高需要業界では、有能なスタッフは、高報酬につられて次々に職を変えるため、20%のスタッフ損耗率は驚くに当たらない。転職により40~50%の給与アップが見込まれるような環境の下では、スタッフを定着させるのは至難で、企業の報償制度は危殆に瀕している。
インドは、取り分け情報技術(IT)業界においては、士気の高さ/有能さ/高い教育水準/英語力を備えた人材が豊富に存在することで定評があったが、こうした評価も急速に変化している。
学卒の供給に不足はないが、新規採用者の質に対する懸念が高まっている。インドは年間300万人の学卒者を生み出しているが、BP(business processing)やITアウトソーシング業界が最適な人材を見いだすのは難しい。賃金インフレの背後には教育制度の歪みが存在する。
ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)によれば、新学卒エンジニアの僅か25%とジェネラル・カレッジ卒業者の15%のみが雇用に耐える資質を備えている。インドIT産業は2010年には50万人の人材不足に直面する見通しだ。
インドにはIndian Institute of Technologies (IITs)やNational Institute of Technologies (NITs)等の国際水準を備えた大学が存在する一方、適切な教材や教員を保持せぬ無数の民間エンジニアリング・カレッジが存在し、統一した教育システムが確立していないと言う。