2008-02-11 ArtNo.40577
◆07-08年度国内総生産成長率8.7%:統計局先行予測
【ニューデリー】インドの2007-08年通年の国内総生産(GDP)成長率は8.7%と予想され、2003-04年以来5年にわたり平均8.7%と言う前例のない長期高成長が実現される見通しだ。
ヒンドゥー・ビジネス・ライン、ビジネス・スタンダード、デカン・ヘラルド、ザ・ヒンドゥー、インディアン・エクスプレスが2月8日報じたところによると、中央統計局(CSO:Central Statistical Organisation)は7日、2007-08年国民所得暫定予測値に基づくGDP先行予測(advance estimate)を発表した。
上記の数字はインド史上前例がなく、中国や東アジアのタイガーにインドが仲間入りすることを示唆しているとは言え、市場を鼓舞することはできなかったようだ。ボンベイ証券取引所(BSE)ベンチマーク30銘柄センシチブ指数(SENSEX)は612ポイント下降した。比較対象とされる前年の成長率が9.6%と言う高水準であったにも関わらず、市場は8.7%のGDP成長率を成長鈍化のシグナルと判断した。
GDP成長率が市場の期待に応えられなかった理由の1つは農業成長率が前年の3.8%から2.59%に鈍化したこと。
工業とサービスの成長率も各8.63%(10.63%)、10.60%(11.18%)と、前年の伸び(括弧内の数字以下同様)を下回った。
工業部門の中では製造業9.44%(12.00%)、鉱業・採石3.38%(5.70%)、電力7.83%(5.98%)と、電力部門以外は前年の伸びに及ばなかった。
サービス部門についても建設9.63%(11.98%)、商業・ホテル12.11%(11.82%)、金融・保険11.72%(13.92%)、共同体・社会・個人サービス6.97%(6.89%)と、前年を下回るか、ほぼ同水準にとどまった。
とは言え総固定資本形成(GFCF:gross fixed capital formation)の実質GDP(1999-2000年価格)に対する割合によって示される持続的投資比率(sustained investment rates)は32.6%と過去最高をマーク、景気の先行きの明るさを垣間見させた。同比率は2006-07年30.6%、2005-06年29.2%、過去10年のスタート時点の22-23%と、持続的に拡大している。名目価格(現在価格)で見ても34.6%、32.5%、31%と推移、拡大基調が維持されている。
対照的に民間最終消費支出(private final consumption expenditure)と政府最終消費支出(Government final consumption expenditure)の名目GDPに対する比率は2006-07年55.8%/10.3%、2007-08年55.5%/10.1%、実質GDPに対する比率は2006-07年58.6%/9.8%、2005-06年57.6%/9.5%と、縮小傾向を辿っている。
このことはインド経済のここ数年の成長が投資支出、すなわち工場建物/機械/鉄鋼/セメント等により牽引されており、消費支出、すなわち二輪車/石鹸/家電等によって牽引されていないことを示している。
2007年のGDP総額は469万3602クロー/1兆1734億米ドル(US$=Rs40)、国民総生産(GNP)は426万2615クロー、国民1人当たりの年収は3万3131ルピー、月収は2761ルピーとなっている。
ちなみにP. Chidambaram蔵相は、「今年の農業生産に関する農業省の見通しはCSOのそれより明るい」とし、通年のGDP成長率は最終的に9%近いものになると予想した。
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