2008-01-21 ArtNo.40487
◆Ispat Industries、複相組織鋼武器に自動車市場開拓
【ニューデリー】自動車の燃費向上に役立つ複相組織鋼(DP鋼:dual-phase grade steel)新製品『DP 600』の生産を開始したIspat Industries Ltd(IIL)は、VolkswagenやAudi等の大手自動車メーカーへの売り込みを図っている。
インディアン・エクスプレスが1月14日伝えたところによると、IILのVirendra Joshi社長(マーケッティング戦略計画&サービス担当)はこのほど同紙に以上の消息を語った。それによると、全ての自動車コンポーネントにDP鋼を用いることにより、車両の重量を約20%軽くできるだけでなく、安全性も高められる。DP鋼板は薄くて軽量なことから、鋼の使用量そのものも減少し、マージンの向上も見込める。
IILはインド国内の全ての自動車メーカーにDP600を納入する計画だが、当面は工場施設を新たに設ける外資系自動車メーカーに照準を合わせる。外資系自動車メーカーは海外で既にDP鋼を使用している。
IILはマハラシュトラ州Dolviに設けた工場でDP 600を生産しており、年産量は目下の所約300トンで、15%を輸出している。しかし必要なら約300万トンまで拡大できる。
IILは自動車業界の他、白もの家電や石油/ガス・パイプライン業界への売り込みも計画している。
業界観測筋によると、Tata SteelやEssar SteelもDP鋼の製造を計画しているが、IILはパイオニアとしての優位を享受できると言う。
一方、エコノミック・タイムズが17日報じたところによると、IILはTata Steel以外では、今年後半に発売される10万ルピー・カー『Nano』に最初にスチールを納入する鉄鋼メーカーになる可能性がある。IILは目下、Tata Motorsに熱間圧延コイル(HRC)の売り込みを図っている。
IILのVinod Garg重役(マーケッティング担当ED)によると、同社はTata Motorsがマハラシュトラ州Puneに設けた工場が必要とするHRCのほぼ80%を既に供給している。Nanoプロジェクトへの納入が決まれば、Tata Motorsに対する最大の鋼材納入業者になる。NanoのHRC消費量は、他の小型車の2分の1で、1台当たり200キロに過ぎないが、年産量が25万台なら、IILのTata Motorsへの鋼材納入量は2倍に拡大すると言う。
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