【ニューデリー】インドの工業生産指数(IIP)成長率は2007年10月に11.8%の成長を見た後、11月には5.3%に失速、前年同月の15.8%の伸びに比べ66.45%の大幅な鈍化を見た。
ヒンドゥー・ビジネス・ライン、インディアン・エクスプレス、エコノミック・タイムズ、ビジネス・スタンダード、ザ・ヒンドゥーが1月11/12日、中央統計局(CSO:Central Statistical Organisation)の発表を引用し報じたところによると、11月のIIP成長率は2006年10月の4.51%以来の最低をマーク、製造業5.4%(17.2%)、鉱業3.5%(8.8%)、電力5.8%(8.7%)と、各部門の成長が軒並み前年同期の伸び(括弧内の数字、以下同様)を下回った。
年初8ヶ月(2007/4-11)のIIP成長率は、当初数ヶ月の好調に支えられ依然9.2%を記録したものの、前年同期の10.9%の伸びには及ばなかった。部門別に見ると、製造業9.8%(11.8%)、電力7%(7.3%)、鉱業4.9%(4.2%)と、鉱業以外は、前年同期の伸びを下回った。
耐久消費財と非耐久消費財部門はともに11月にマイナス成長を記録、インフラ産業の伸びも前年同月の9.6%から5.3%に鈍化したことから、経済全体が萎縮した。11月には消費財部門が-2.6%(13.5%)、耐久消費財部門が-4.1%(10.1%)、非耐久消費財部門が-2.1%(14.8%)、資本財部門が24.5%(29.4%)、中間財部門が7.3%(17.9%)、基本財部門が4.8%(12.1%)と、何れも前年同月の伸びには及ばなかった。とは言え旺盛な設備拡張需要に支えられ11月には機械/設備部門が依然11.2%の成長を見た。
年初8ヶ月には資本財部門が20.8%(17.4%)の伸びを見たものの、非耐久消費財部門は5.2%(9.9%)、耐久消費財部門は-1.7%(8.9%)と振るわず、食品部門/ジュートおよびその他の植物繊維部門/金属製品部門の3部門はマイナス成長を記録した。
Kamal Nath商工相は、「工業部門と製造業の成長は11月に顕著な鈍化を見た」、「政府は消費者支出が完全に収縮するようなことがないよう対策を講じる必要がある」とし、金利引き下げの必要性を示唆した。
Manmohan Singh首相は先週、全国製造業競争力委員会(NMCC:National Manufacturing Competitiveness Council)のV Krishnamurthy議長を長とする専門委員会を組織し、工業成長を加速させる方策の検討を委ねた。
Nath商工相は、「工業の成長は鈍化したものの、向こう4ヶ月間には復調が望める」とし、「景気後退の兆候とは見ていないが、消費者支出に見直しを加えるシグナルと言えるだろう。金利を多少緩和する必要があるかも知れない」と付言した。同相によると、消費者支出が完全に萎縮するようなことは避けねばならないが、同時にインフレの高進も注意する必要があると言う。
インド国際経済関係調査委員会(ICRIER:Indian Council for Research on International Economic Relations)のRajiv Kumar理事兼秘書長は「これは単なる一時的現象ではなく、景気後退のスタートである」と指摘した。同氏によると、国内需要は高金利により、海外需要はルピー高により、それぞれ打撃を受けており、インド経済はダブルパンチを被った。目標とした二桁成長が望めなくなった今、政府が行動をとるべき時が来ていると言う。
インド商工会議所協会(Assocham:Associated Chambers of Commerce and Industry of India)のVenugopal Dhoot会頭は「IIPの成長鈍化は、政府の製造業に対する関心の薄さに由来している。政府はインフラストラクチャー部門に対するのと同水準の関心を払う必要がある。しかしIIP成長率は月ごとに変化しており、過度な懸念には及ばない」とコメントした。