【ニューデリー】印米原子力協定発効の望みがほとんどなくなったことから、インド原子力発電公社(NPCIL:Nuclear Power Corporation of India Limited)は国産原子炉計画に再度重心をシフトするとともに、2020年までに原子力発電能力を2万MWe(Megawatt electric:電気出力メガワット)に拡大する目標を達成するため国産ウラン燃料の開発に力を入れる。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが10月22日報じたところによると、複数の政府当局者は、「印米原子力協定が暗礁に乗り上げたことで、原発事業への参入に意欲をみせていた民間企業の燃料入手が困難になり、また中央政府が計画していた沿海原発候補地5カ所に輸入大型原子炉を据え付ける計画も棚上げされそうだ」と指摘した。
それによると、米国との『123協定』の約束事項に基づき原子力供給国グループ(NSG)の原子力貿易規制が撤廃されれば、世界の原子力燃料と原子炉技術を用いてインドの原発計画は大幅にスケールアップするはずだったが、協定が発効しないなら、国産計画に頼らざるを得ない。
一方、インド国内では新たなウラン鉱脈の存在が確認されており、開発と採掘が加速されそうだ。ある当局者は「第11次五カ年計画期間に国産ウランの倍増を図る」、「協定が発効しさえすれば2020年までに原子力発電キャパシティーを4万MWeまで拡大できるが、それがだめなら2万MWeの目標を目指して独自の努力を続けるまで」と話す。
大規模原発の開発候補地となっている沿海地区のうち開発が実行されるのは、印米原子力協定の交渉が始まる前に決まっていたマハラシュトラ州のJaitapurだけになりそうだ。ある当局者は「候補地のいくつかは、代替地として国産計画にも使うことができる。しかし、沿海を選んだのは海水を利用する便宜もあるが、原子炉と燃料の輸入を考慮したためだ」と語る。