SEAnews 2007-10-22 ArtNo.40171

【チェンナイ】インドの自動二輪車市場は過去6年にわたり年率およそ12％の堅調な成長を遂げてきたが、今年はマイナス成長に陥るものと予想されている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが10月19日報じたところによると、昨年度(2006-2007)にインドでは780万台の自動二輪車が販売された。今年度上期の販売は9.5％落ち込んでおり、この状況が続くと通年の販売台数は700万台に後退する。
TVS MotorsやBajaj Autoなど主要二輪車メーカーの幹部は、銀行の貸し渋りと高金利が販売減速の主因だとしているが、ローン利息の変化が自動二輪車の購入にどれだけ影響しているか、答えは一様ではないようだ。
銀行の自動二輪融資総額は1万5000クロー(US$36億2169万)に達し、これは自動二輪車の国内総売上高の半分に相当する。
自動二輪融資の現在の年利は約21％で、昨年の約17％を上回る。自動二輪融資の利息がこれほど高いのはなぜか。また、どうして上昇したのか。銀行は、自動二輪融資の運転コスト高を指摘する。また、この分野の融資リスクは比較的高く、損失補償の意味から銀行は利息を高く設定している。利息が昨年以降4ポイント上昇した背景には債務不履行が増え始めたことがある。
Centurion Bank of PunjabのHarpreet Singh支店経営部長によると、通常2～3％の債務不履行が5％に上昇した。債務不履行の増加が貸し渋りをもたらしており、同行も支店をいくつか閉めざるを得なくなった。特に都市周縁地区や農村地域では集金コストも上昇したと言う。
この分野で40％のシェアをもつICICI BankのN.R. Narayanan自動車ローン部長も一部の地域で最近融資を停止したと語る。自動二輪融資に限らず、こうした地域では返済が滞りがちで、全べてのカテゴリーの製品に対するローン提供を抑えている。しかし平均的な自動二輪融資額はわずか3万5000ルピー(US$845)で、数パーセント利息が上がったとしても、月賦が100ルピー(US$2.4)増えるだけで、消費者にはさして影響を及ぼさないと言う。
それでは、なぜ債務不履行が増えているかについて、Harpreet氏は、月賦への影響は小さいかもしれないが、絶対的な購買力が問題と語る。生活費が急上昇しているのに、自動二輪ユーザ層の所得は増えていないと言う。
祝祭シーズンになれば景気はよくなるとの期待もあるが、Harpreet氏は、債務不履行の増加は短期的問題ではないと見通した。2006年後半に返済の滞りが始まったころ、同氏は一時的現象と考えたが、今では問題の根はもと深いと考えていると言う。