【ニューデリー】今年7月の工業生産指数(IIP:index for industrial production)伸び率は7.1%と、昨年同月の13.2%に比べ顕著に鈍化、昨年10月の4.4%に次ぐ、過去9ヶ月来の最低を記録した。
インディアン・エクスプレス、ヒンドゥー・ビジネス・ライン、ビジネス・スタンダード、エコノミック・タイムズ、ザ・ヒンドゥーが9月12/13日伝えたところによると、工業生産は製造業と消費者の需要軟化で押し下げられ、7月のIIP成長率は今年6月の9.8%にも及ばなかった。6月の伸び率は昨年同月の9.7%を僅かに上回っていた。今年初4ヶ月の11P伸び率も9.6%と、昨年同期の10.6%に及ばない。
中央統計局(CSO:Central Statistical Organisation)が12日発表した暫定統計数字によれば、今年7月のIIP各部門の伸び率は、製造業7.2%(14.3%)、鉱業4.9%(5.1%)、電力7.5%(8.9%)と、全部門の伸び率が昨年同期の伸び(括弧内数字、以下同様)を下回った。
用途に基づく分類(use-based classification)によれば、7月には耐久消費財が-3.2%(16.1%)、非耐久消費財が8.4%(17.1%)、消費財が5.3%(16.8%)、基本財が9%(10%)、資本財が12.9%(18.3%)、中間財が4.7%(10.7%)と、何れも昨年同期を下回った。
全国産業分類(national industrial classification)主要17業種中、7月には13業種がプラス成長を記録した。中でも木材・木製品部門が21.1%と最高の伸びをマーク、基礎金属・合金部門がこれに続いた。
指導的業界団体は何れもIIPの成長鈍化に懸念を表明、金利引き下げを政府に重ねて呼び掛けた。中央銀行の高金利政策はインフレ抑制面で一定の成果を上げたものの、消費支出を減退させた。成長鈍化のもう一つの原因はルピーの値上がり。7月のルピー相場は1米ドル=40.20ルピーと、過去9年来の最高をマーク、輸出に深刻な打撃を与えた。
インド国際経済関係調査委員会(ICRIER:Indian Council for Research on International Economic Relations)のRajeev Kumar理事兼CEOは、「問題は需要サイドではなく、供給サイドに有るようだ。比較の対象になる昨年同期の数字が高水準だったことの他、製造業の多くの部門が既にフル稼働の状態にあり、インフラにも問題がある」と指摘した。
Reliance Industriesのチーフ・エコノミスト、T.K. Bhaumik氏は、「中央銀行Reserve Bank of India (RBI)の公定歩合(Bank Rate)と市中銀行の最優遇貸出金利(PLR)の間には大きな開きがある」と述べ、高い資金コストを引き下げる必要性を指摘した。
しかし、Kamal Nath商工相は今年通年の製造業成長率は目標とする12%のレベルを実現できると述べ、総理府経済諮問委員会のC Rangarajan主任も通年のIIP伸び率は約9%のレベルに達するとの楽観的見通しを示した。