【バンガロール】インドの経済的復興の立役者を務める情報技術(IT)産業は、過去9年来の最高に達したルピー相場に政府が歯止めをかけ、業界の利益を保護するよう期待している。
エコノミック・タイムズが7月27日報じたところによると、ルピーの対米ドル相場は今年に入って10%、過去12ヶ月間に12%上昇、年間売上げ500億米ドルの3分の2を米国に依存しているIT産業に深刻な打撃を与えた。ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)のKiran Karnik会頭は「これは尋常ではなく、決して市場メカニズムのみに原因を帰することはできない。市場動向は健全と政府が主張する根拠はなく、それは非合理な姿勢と言う他ない。実際政府が対策を講じる余地が存在する」と指摘した。同氏によると、インド企業は過去数ヶ月間に海外でほぼ120億米ドルを調達、インド国内でルピーに転換しており、このためルピーの値上がりが生じている。これ以前には特別な理由や差し迫った必要がない限り海外で資金を調達することはなかったが、今では容易にできるようになった。このため取り立てて必要がないものも海外で資金を調達、今日ルピーに転換し、3ヶ月後にまた米ドルに戻す操作を行っている。この結果、ルピーの値上がりが加速している。
政府は2000億米ドルの外貨準備を枕に観望姿勢をとっているが、Nasscomは政府の市場介入を望んでいると言う。
海外投資家のインド証券市場への純投資も2007年1-7月の間に100億米ドルを記録、昨年通年の80億米ドルを上回った。
ルピー高は輸入、取り分け必需品の輸入拡大を促し、インフレの抑制に役立つことから、中央銀行は外為市場への不介入政策をとっている。
インド第2のソフトウェア企業Infosys Technologiesは、第1四半期の利益目標を達成することができなかったが、ルピー高の持続を予想し、通年の利益/売上げ目標も下方修正した。ライバルのWiproの第1四半期利益も71億ルピーと、アナリストが予想した75億ルピーに及ばなかった。