SEAnews 2007-07-16 ArtNo.39748

【ニューデリー】今年5月の工業生産指数(IIP:Index of Industrial Production)の伸びは、製造業の成長鈍化から11.1％と、昨年同月の11.7％を僅かに下回った。
ヒンドゥー・ビジネス・ライン、ビジネス・スタンダード、インディアン・エクスプレス、デカン・ヘラルド、ザ・ヒンドゥーが7月13日、中央統計局(CSO:Central Statistical Organisation)の暫定数字を引用し報じたところによると、5月の製造業の伸びは11.9％と、昨年同月の13.3％に比べ減速した。しかし鉱業部門は3.7％(2/9%)、電力部門は9.4％(5%)と、何れも昨年同期の伸び(括弧内の数字、以下同様)を上回った。
この結果今会計年度当初2ヶ月(2007/4-5)のIIP成長率は11.7％(10.8%)を記録、内訳は製造業部門12.7％(12.2%)、鉱業部門3％(3.2%)、電力部門9％(5.5%)だった。
用途に基づく分類(use-based classification)によれば、5月には消費財部門が9.8％(10.5%)、耐久消費財が2.6％(17.5%)、非耐久消費財部門が12.5％(8.2%)、中間財部門が9.1％(12.5%)、基本財部門が9.4％(5%)、資本財部門がは22.9％(21.4%)と、金利の上昇が耐久消費財部門の伸びを顕著に鈍化させ、製造業部門全体の成長を減速させたことが窺える。
全国産業分類(national industrial classification)主要17業種中14業種がプラス成長を記録、中でも木材／木製品／家具／備品は最高の132.8の成長をマークした。以下、ジュート／綿を除くその他の植物繊維40.4％、食品24.8％と続く。しかし運輸機器は－0.1％、その他の製造業もマイナス、紙／紙製品／印刷／出版／関連製品は0％と振るわなかった。
CSOは4月のIIP成長率も当初発表の13.6％から12.3％に下方修正した。
中央銀行はインフレ抑制措置の一環として過去18ヶ月間に6回にわたり無担保コール翌日物金利(overnight lending rate)を引き上げ、また昨年12月以来3度支払準備比率(CRR:Cash Reserve Ratio)を引き上げた。これを受けて銀行界は貸出金利、取り分けリテール・ローン金利を引き上げた。この結果、今年初以来6月22日までの消費者及び企業に対する貸出の伸びは24.6％と、昨年同期の31％に比べ鈍化した。その煽りを受けモーターサイクル／乗用車／その他の製品に対する需要が減退したが、今年6月第3週のインフレ率は4.13％と、過去13ヶ月来の最低水準に鎮静した。
一方、ルピーの対米ドル相場が今年1月以来9.6％上昇する中、工業生産の5分の2を占める輸出の伸び率は5月には18％と、前月の23％から鈍化した。
HDFC BankのチーフエコノミストAbheek Barua氏によれば、「金利上昇の影響は今後基本財部門にも波及し、IIPの成長鈍化基調は続くものと見られるが、資本財部門は堅調を維持しそうだ。上半期を通じた成長は10％のレベルに収まる見通しだが、下半期には一層の鈍化も予想される。総じてIIPは軟着陸に成功し、急降下はしない見通し」と言う。